スポーティーなクロスオーバー・クーペがヨーロッパで初登場
Elastic Front*安全システムで歩行者負傷を軽減
環境に優しいテクノロジーが重量、燃費、二酸化炭素を低減
ジュネーヴ国際モーターショーで本日、ヒュンダイ自動車とGEプラスチックスがクロスオーバー・クーペ分野では最初のQarmaQ「カーマック」を発表した。QarmaQは、ヒュンダイによる、革新的な『Elastic Front*(柔軟フロント)』技術をはじめとする30以上の環境に優しい進歩的技術を搭載した高度技術実証車(ATDV)である。『Elastic Front*』とは、クロスオーバー多用途車(CUV:Crossover Utility Vehicle)が、歩行者を巻き込む事故を起こした際、歩行者に重傷を負わせるリスクを軽減するのに役立つ、革新的なソリューションである。
リュッセルシュハイムのヒュンダイ自動車欧州デザイン・技術センターによってデザインされ、GEプラスチックスとの技術協力により実現したQarmaQ は、30以上のキーポイントとなる技術を開発、実証している。これらの技術は、ヒュンダイが2008-2014年から発売する新モデルに採用される予定である。
ヒュンダイ自動車先進技術担当副社長のKwon Moon-Shikは「ヒュンダイは、人道に対する革新を信じており、QarmaQはそのような当社の、安全のための革新に対するコミットメントであり、そしてより環境に責任ある技術を市場に送り出すという決意の表明です。私たちがGEプラスチックスをパートナーに選んだのは、環境に対する取り組みと、広範におよぶ革新的な材料と技術があるからです。QarmaQに搭載された技術は、ヒュンダイ車のオーナーに対して、安全で環境に対して責任ある、そして充実したドライビングを提供致します。」とコメントする。
QarmaQは、現在生産されている同クラスのCUVのどれよりも軽量、強力、そして経済的であり、また製造工程および解体工程のいずれにおいても、リサイクルのメリットを提供する。つまりこれは、個人用移動手段である車の、実現可能な将来の可能性を垣間見るものといえる。
歩行者の安全
歩行者の安全は、今日重要性を増しつつある問題である。EUにおいては、交通事故による死者の20%-年間7,000人-は、車両にはねられた歩行者である。人口密度の高い韓国では、この率は39%にも上る。QarmaQのElastic Front 安全システムは、車のフロント端部全体にわたるもので、CUVでは、恐らく最初のグローバル対応歩行者保護ソリューションである。QarmaQの未来的なスタイリングの下には、3つのエネルギー吸収体が内蔵されており、いくつかの先進素材を使用することで、それぞれ異なるエネルギー吸収性能を発揮する。 QarmaQのボディーパネルは、これらパネル下部に組み込まれているエネルギー吸収システムと調和して働き、歩行者とCUVとの衝突によって生じた衝撃力を吸収し、分散させるようにデザインされている。Elastic Frontは、EEVC WG17のPhase2、ユーロNCAPおよびJNCA歩行者衝撃要求事項を満たすよう設計されており、現在、最終検証を行っている。
非常に今日的なコンセプト
ヒュンダイのQarmaQコンセプト車は、ヒュンダイとGEプラスチックス両社の専門知識と、設計に対する優れた先見性の融合によって生まれたものである。 QarmaQは、単にデザインコンセプトを表現するに留まらず、安全性、デザイン、そしてパフォーマンスを向上させる際、環境に対する責任あるソリューションを巧みに取り入れることができることを実証している。
GEプラスチックス、自動車部門の副社長兼統括マネージャーであるGregory A. Adamsは、「GEプラスチックスは、当社のお客様が、環境インパクトを軽減できる車両を製造できるようサポートするため、より環境にやさしく、軽量、かつ見た目に心地よいソリューションの開発に注力しています。私どもはヒュンダイ社と協力できたことを心から喜びとし、またこの共同作業によって、同社がより優れた環境的責任を持ち、安全性向上と飛躍的なデザイン、そして高いパフォーマンスを持つ、心も躍るような新しいCUVを開発する、そのお手伝いができたと確信しております。」とコメントする。
クロスオーバー・クーペ/CUVとして位置づけられたQarmaQの名前は、イヌイット族の伝統的な住居に由来し、これは、土と鯨の骨、そして動物の皮から出来た家である。この住居同様、QarmaQは、製造方法や材料に対する既存の考えに挑戦している。イヌイット族の家の構造とQarmaQが持つ共通性は、その類まれな強靭さ、弾性、そして保護力である。
先端を行くデザインと先進的な設計技術、そしてGEがもつ材料技術、これらを併せもったQarmaQは、必須かつ困難な歩行者安全と環境責任に対する規制や基準にも、対応する能力を持っている。
クロスオーバー・クーペ/CUVをQarmaQのフォーマットとして選んだのは、この分野におけるヒュンダイの、デザイン革新に対する取り組みを強調するためである。Santa Fe、Tucson、そしてVeracruzと、ヒュンダイは先駆的な車両を生み出してきた。
この2+2車は、ベビーブーム世代の後継者、空白ではあるが重要な人口層をターゲットにしたもので、この世代は新しく発見した自由を満喫しながら、史上もっとも豊かな人口層を構成している。現在、この主要な消費者グループはその貯蓄に手をつけ始め、自分が稼ぎ出したお金を物質的な所有物にではなく、新しい経験を享受できるものを消費対象とする傾向がある。QarmaQは、クーペの運転体験と、すべての地形を走行できるCUV機能とを劇的に融合させ、子供が巣立った後の熟年世代に、自然とアウトドア生活を楽しめる場を提供するものである。
デザイン:形状の自由度
GEプラスチックスとの共同プロジェクとして生まれたQarmaQは、デザイナーたちに、現行の製造方法と既存の金属やガラスのような材料では実現が難しい、複雑な三次元の形状を生み出せる、より幅広い自由度を提供した。
「ここに示されたより強力なデザインのプロフィールとスタンスは、躍動的かつ彫刻的、優雅でスポーティーであると同時に、滑らかで洗練された外観を実現しました。」と語るのは、ヒュンダイ欧州の主任デザイナー Thomas Bürkleである。「それだけではありません、GEの材料が持つさまざまな特性は、諸種の安全規制に見合うだけではなく、それを超えることすら可能にしてくれました。結果は均衡と調和に満ちたデザインが内と外ともに、他に類のない形となって生まれたのです。」とコメントする。
低いボディーと、トップにガラスのキャビンを持つという、現行の車両デザインのありかたを離れたQarmaQは、GEのLexan*ポリカーボネート樹脂を採用し、車両を包み込むガラス部位を持った、まったく新しいデザインの道を開いた。この部品は、前部および後部車輪の上の、ふたつの際立った「筋肉」の間に据えられている。C字形のサイドウインドーは、ヘリコプターのように下方の可視性をもつ革新的なもので、新しいグレージング技術を示す、主要なデザイン上の特徴となっている。
外装:流動的なボディライン
独自の光沢のある表面につながる外装デザインは、内装と強く関連づけられ、かつ無理なく一体感のあるデザインになっている。しっかりしたボディー部分と透明のガラス部分の特徴的な境界線は、内側から見たときも、外側から歩行者としてこれを見た場合にも、新たな印象を与える。
洗練された外装の輪郭と流動的なボディラインは、躍動の瞬間を凍結したような印象を誰の目にも与えることができる。この外観は、内装にまで反映され、内側と外側の知覚的境界が融合、合体し、全体的な統一感と同調感が生み出されている。
「QarmaQ には、高いウエストラインや小さな窓はありません(これらは安心感を生み出す現行のやり方です)が、外装デザインは確固たる存在感をもたらし、車内にいる人は、安心感を獲得できます。」とGEプラスチックスのグローバル・マーケティング・ディレクター、Robert Butterfieldはコメントする。「サンルーフのツインドームは、新しいグレージング技術に支えられたもので、後部座席にいる人には、より多くの空間をもたらし、独特のデザイン特性を生み出してくれます。」車両を包み込むウインドスクリーンは、引き伸ばされたボンネットとあいまって、ドラマチックな、そしてほとんど古典的ともいうべきプロポーションを生み出し、この車に独特のスポーティーさを与えている。最後に、濃い色調と薄い色調の対比は、 QarmaQが生まれつき持つオフロードの資質を強調している。
内装
QarmaQ は、減少する家族数と多様化する顧客嗜好に応え、乗員数を特に4人に絞ったデザインを施し、平均以上の快適さを実現している。新しい材料と技術をふんだんに採用したことにより、流動感に富み、統一感のある内装を、おしつけがましくなりがちな要素のなかに、シームレスに統合することが可能となった。
スポーティーな外装に表れている通り、QarmaQは、原則としてドライバーのための車である。その独特な内装構造の中にあって、コックピットはアクティブでありながら保護性能に優れた鞘のような構造になっている。これにより感覚性を高めた、高度なドライビング体験を存分に楽しむことができる。
内装デザインの上で、主要な目的のひとつは、実用的でインタラクティブな空間は、乗員を包み込むようなかたちとして表現することであった。このドライバーを重視したコックピットは、有機的な造形を持つ機能性を、魅力的で楽しいドライビングと融合させた。これはさらにつぎの特色によって強調されている:
* 明示されあるいは隠されたタッチセンサーの埋め込まれている滑らかな一体感のある表面
* 淡色の環境照明により、鼓動し発光する「浮遊」要素
内装はつぎのようなさまざまなテクノロジー、効果、および表面などが生かされている。
* セラミック・コンポーネントを通して発光する、Lumination, LLCのLED環境照明
* 触感と視覚に快く訴えかけるシリコンとレザーの組み合わせ
色彩の調和された内装は、心の静けさと広がりを感じさせ、乗客は快適にリラックスすることができる。この効果と材質感、色彩が統合され、車のもつ躍動感と強力な存在感に洗練性を加味している。アルミニウムを基調にした機能的要素は、よりテクニカルな側面を強調し、内装素材のソフトさを対照的に強調する。
新素材、快適さと安全性への新しい方向
現在、コンポジット技術はあまりにも高価で、宇宙航空分野と自動車レース産業以外での実用は困難なものと通常は考えられている。QarmaQは、こうした考えが絶対的なもではないという現実的な証明である。
全体を包み込むGE LexanウインドスクリーンとGEのポリカーボネートのグレージング材は、ガラスに比べ、最高50%の重量軽減を可能にし、同時に板ガラスよりも大胆な形状を可能としている。このグレージングの特徴は、Exatec*のみがもつ特殊技術で、Lexan上に薄いガラス保護膜を形成し、ひっかき傷や天候がもたらす影響から保護することができる。
QarmaQはまた、Lexanの新しい、湾曲した動く側面グレージングも採用した。このような先進的アプリケーションを可能としているだけでなく、この材料がもつ耐衝撃性、その他の特質はさらに、乗客のみならず歩行者の安全性も向上させる。
透明部分すべてに施されているExatecの赤外線遮蔽被覆は、熱を反射し、内部冷却を助け、赤外線で制御されるエアコンへの負荷を軽減する。照明は、ムード照明を実素材に取り入れ、独特な内部照明環境を作り出す。また、この素材は、完全に平坦なフラクタルラジオアンテナをルーフ構造に一体化することも可能である。
QarmaQの他の画期的な構造として、フロントフェンダーは、当初から非常に大きな射出成形による単一部品として設計されている。変形可能なボンネットと精密なバンパー成形と共に、これらは歩行者に対する衝撃を和らげるための安全性向上に大きく寄与している。さらに、洗練された材料と製造技術は、複雑なヘッドライトの形をフロント全体のスタイルのなかに完全に取り込む上でも大きな役割を果たしている。
一方のテールゲートは、グレージングと後部照明を含め、異なる材料を組み合わせることで新しい分野を切り開き、一体化されたコンポーネント構造を作り出している。これは全体的な強度を高める他、車両組み立てを簡素化するとともに、重量軽減を実現する。
もうひとつの特筆すべき安全性向上のポイントは、車線変更時あるいは追い越し時に、他の車両の存在を探知し、バックミラーの死角をカバーするセンサーで、これは視聴覚に訴え、運転者に警告を発する装置である。
EURO5ディーゼルエンジン
QarmaQ の2リットル・ディーゼルエンジンは、EURO5排気規準に完全に対応している。このエンジンは、高圧燃料噴射や細かな燃料スプレー噴霧化などの最先端テクノロジーを採用することで、高トルクと高出力を実現している。CO、THC、NOxおよびPMなど規制対象になっているガスの排出量は、大量に削減される一方で、触媒型微粒子フィルター(CPF)は、ディーゼルから排出される排気ガスの、微粒子成分をおよそ90%回収する能力を持つ。さらに、CPFの位置を床下部位からより排気マニホルドに近い位置に変更することによって、触媒の作動時間短縮が可能となり、CPFの自然再生特性をさらに強化させることが可能となる。
環境改善の進む未来
多くの先進材料を用いることで、QarmaQは、既存の材料を使った車両に比べ、60kgも軽量である。
ニューヨーク州ニューヨーク市に本社を置く環境戦略を推進するGreenOrder社がQarmaQを監査した結果、QarmaQが達成したこの60kg の減量は、この車が年間80リットルのディーゼル燃料節約を達成できることを意味すると指摘、温室効果ガス排出量は、同様に年間で200kg以上減らすことができるとの試算結果を提出している。さらに2006年中に欧州連合(EU-15)で登録されたすべての新車が、燃料消費を同じ量だけ減らしたならば、その結果、年間のディーゼル燃料は740万バーレル節約されることになる。これは、欧州連合(EU-15)全体における3日間のディーゼル需要量にあたる。
その結果、抑止できる温室効果ガスはおよそ310万キロトンの二酸化炭素に匹敵する。GreenOrder社の Joseph Malcoun氏によれば、「時代の先端を行く材料技術は、未来の乗用車の燃料節約向上を果たす上で、主要な貢献を果たすものと期待されています。燃料効率の高い車両を求める消費者からの要求は増大し続け、私たちの運転する車が温室効果の原因とならないよう、その減少を促す役割を果たす先進的な資材の使用が期待されます。」とコメントしている。
水平ボディーパネル用HPPC複合材は、大幅にパーツ重量を削減(最大50%)し、その一方で、鋼鉄に匹敵する強さをもつ。この軽量外装材は、よりよい燃費効率に貢献するとともに、運転者にとっては、動力対重量比を改善させるものとなり、またそのエネルギー吸収性能がElastic Front安全システムを生み出している。
QarmaQのボディーパネルは、GEのecomagination*の一環として開発された環境に優しいプラスチック、Xenoy iQ*およびValox iQ*樹脂によって作られ、環境に関する次の3点の重要な問題に回答を導き出す。つまり、エネルギーの節約、温室効果ガスの排出量削減、そしてPETボトルなどの資材のアップサイクリングあるいはリサイクリングである。QarmaQは、およそ900のペットボトルを再利用しており、これらは、埋立地に廃棄されるしかないものである。
QarmaQに採用された環境から見て進歩的なデザイン側面には、Visualfx*樹脂やLexanフィルムなど、GEによる塗装代替テクノロジーの利用がありますが、これは、有害で温室効果ガスを発生することもある従来の塗装法にとってかわるものである。
配線におけるPVCへの依存を排除するため、GEのNoryl*樹脂テクノロジーが、配線やケーブルのコーティングに取り入れられている。PVCにとって代わるこれらの超薄コーティングは、ケーブルの重さを最高25%まで軽減できる。
写真:
ヒュンダイ自動車とGE Plasticsが、ジュネーヴ国際モーターショーで発表した、クロスオーバー・クーペQarmaQ「カーマック」。
ヒュンダイ自動車について
1967 年創設のヒュンダイ自動車は、ヒュンダイ‐キア自動車グループとして成長、2005年には世界第6位の自動車メーカーの地位を占めるに到り、また 2ダース以上にのぼる自動車関係子会社と連携会社をその傘下におさめています。世界中に68,000の従業員を抱えるヒュンダイ自動車は、2005年には 581億ドル(連結ベースで)の売り上げを計上しております。ヒュンダイの車両は世界193カ国に、5000にのぼるディーラーと、ショールームを経て販売されています。2014年までUEFA Euro 2008™、2010 FIFA World Cup™および全FIFA競技の公式パートナーを勤めるヒュンダイは、グローバルな交通管理提供会社として、その世界的な流通網を通じ、これらのイベントにサービスと車両を供与しております。ヒュンダイ自動車会社およびその製品についてのさらに詳しい情報は、 ウェブサイトをご参照下さい。
GEプラスチックスについて
GEプラスチックスは、自動車、医療、家電、輸送、高機能包装、建築/建設、通信、光学媒体などの幅広い業界で利用されているプラスチック樹脂を世界中のお客様に提供するサプライヤーです。ポリカーボネート、ABS、SAN、ASA、PPE、PC/ABS、PBT、PEI樹脂に加え、高機能特殊コンパウンドLNP*製品シリーズを製造しています。GEプラスチックスのスペシャルティーフィルム&シート事業部は、高機能Lexan*シートおよびフィルム製品を製造しており、これらの製品は条件の厳しい用途に世界各地で幅広く利用されています。さらに、GEプラスチックスの自動車部門は、車体パネル/グレージング、ボンネット内用途、内装部品、車体構成部品、照明という自動車産業の5つの主要分野で、世界中のお客様に豊かな経験に裏付けられた優れたプラスチック・ソリューションを提供しています。オリンピック大会の協賛企業として、GEは大会の成功に不可欠な、幅広い分野にわたる革新的な製品とサービスを独占的に提供しています。
* Elastic Front、Lexan、Valox iQ、Xenoy iQ、 ValoxXenoy、ecomagination、Visualfx、Noryl および LNPは、General Electric Companyの登録商標です。
* ExatecはGEの合弁企業であるExatec LLCの登録商標です。
* Lumination, LLC は GE Consumer & Industrial社の子会社です。
連絡先
ヒュンダイ
Stefan Henrich
(ステフェン・ヘンリッヒ)
European Communications
Hyundai Motor Europe GmbH
電話:+49 69 271472 401
GEプラスチックス
Anne Clement
(アン・クレメント)
Global Marketing Communications
GE Plastics - 自動車部門
Bergen op Zoom, The Netherlands
電話:+31 653 72 92 36
広報代理店連絡先
アメリカ全域
Jim Allison
(ジム・アリソン)
AH&M Marketing Communications
Pittsfield, Mass.
電話:413 448 2260 内線25
欧州
Folke Markus
(フォルケ・マーカス)
Marketing Solutions, Bergen op Zoom(オランダ)
電話:+31 164 317 038
日本
杉野光義
株式会社 東京PR、東京都
電話:+81 3 3273 2731
日本GE コーポレート・コミュニケーション本部