5秒で心臓CT撮影が可能に、PET/CTで初めて心臓診断に高い有用性を誇る
GEヘルスケアグループの日本法人であるGE横河メディカルシステム株式会社(本社:東京都日野市、社長:熊谷昭彦)は、陽電子放射断層撮影装置(PET)とコンピュータ断層撮影装置(CT)を一体化し、従来のがんを始めとした腫瘍検査に加えて特に心臓の機能検査に優れた特性を持つ複合型検査装置PET/CTの新製品「Discovery VCT Elite(ディスカバリー・ブイシーティー・エリート)」を発売します。当製品は、心臓PET/CTの臨床研究を推進する大学病院や先端研究機関、または大規模病院などを主対象に発売します。
Discovery VCT Eliteは当社のPET/CT「Discovery」シリーズの最上位機種。最大の特長は、当社のマルチスライスCTの最上位機種「LightSpeed VCT」の技術を搭載し、約5秒(5心拍)の高スピード、かつ低被ばくで高精細な心臓撮像を可能にしたことです。臨床的には、これまでの腫瘍領域に加えて、PET/CTでは初めて、心臓をはじめとする循環器領域での診断に高い有用性を誇ります。
当社が2003年に日本初のPET/CT「Discovery LS」を発売して以来、PET/CTの普及に伴って、PETとCT画像の重ね合わせ処理技術も日々進歩してきています。その進歩に伴い、これまで事実上腫瘍領域に限定されていた臨床ニーズも、循環器や頭部領域に拡大してきていますが、従来のPET/CTでは、CTに搭載されているX線検出器の体軸方向のX線測定素子が16列配列のため、特に心臓の診断においては撮影速度や撮像範囲が不十分で、臨床応用にまで至っていませんでした。
Discovery VCT Eliteでは、内蔵CTの検出器の体軸方向における幅を従来機種の2倍の40mmに拡張し、X線測定素子を従来の16列から4倍の64列配列に変更しています。また、検出器の回転スピードを向上させ、一回転あたりの最速時間を従来の0.5秒から0.35秒に短縮したことで、これまで約20秒かかっていた心臓の撮像が約5秒(5心拍)と4分の1の時間で可能となります。撮像時間の短縮により、心拍が変動する可能性が減少し、不整脈が出にくくなることで、安定した心臓静止画像の描出が可能となり、PETと組み合わせた心臓領域の高度な臨床診断を実現します。また撮像の高速化は、患者の息止め時間の短縮と被ばくの低減につながるため、患者の負担軽減に貢献します。
CTの画質は照射するX線の強さや照射時間に比例しますが、X線の強さは管球に流れる電流(管電流)を増減することで調節可能です。Discovery VCT Eliteでは最大管電流を従来の2倍の800mAまで設定できるため、瞬間的に大量のX線照射が可能となり、特に心臓に多くの内臓脂肪がたまっている患者においても、高精細画像の描出による診断能力の向上が可能となります。
また、Discovery VCT Elite内蔵のPETには、新たな画像再構成技術「VUE Point Plus」を搭載、従来のVUE Pointと比較して画像の周辺部位の空間分解能の向上や高集積部でのアーチファクト(虚像)の低減などにより、更なる画質の向上が図られています。
その他、PET/CTでは、呼吸による臓器の「動き」が、画質や定量性に影響を与えていますが、Discovery VCT Eliteでは、呼吸と同期して『動き』を捉える同期収集技術である「Motion Free PET-CT」を搭載、撮影画像を正確に補正し、画質の改善や定量性の向上、および放射線治療計画における高精度の輪郭抽出を可能にしています。
Discovery VCT Eliteは2006年5月に米国で発売して以来、米ブリガム・アンド・ウィメンズ・ホスピタル(マサチューセッツ州)など既に全世界で約30台が稼働し、導入医療機関から高い評価を獲得しています。また、全世界では既に約2,300台のPET/CTが稼動しており、そのうち当社の市場シェアは約50%とトップを占めています。
当社は、2003年他社に先駆けて日本初のPET/CT「Discovery LS」を発売して以来、2004年に日本初のPET/CT専用機種「Discovery ST」、2006年に上位機種「Discovery ST Elite」を発売するなど、日本のPET/CT技術を常にリードしてきました。現在、当社のPET/CT「Discovery」シリーズ全体では、日本国内で220台が稼働しており、年間100億円規模の国内のPET/CT市場において、市場シェアは約50%とトップを誇っています。
常に最先端の技術で日本のPET/CT市場をリードしてきた当社は、今回発売するDiscovery VCT EliteをPET/CTラインアップの最上位機種と位置づけ、既に発売中の3機種と併せて、PET/CT市場におけるさらなるシェアアップを目指します。新規の顧客獲得とともに、現在PET/CTを保有している医療機関の増設や研究目的での需要獲得を狙います。
PET/CTとは、代謝や血流など生体内の生理学的・生化学的な「機能」をとらえるPETと、体内の構造物形状や病変の位置などの「形態」を正確に把握するCTを同一機器内に組み合わせて配置した検査装置。従来、両検査を行うためには二度の検査が必要でしたが、同装置では一度の検査で済ませることができます。さらに「機能画像」と「形態画像」の両撮影画像の重ね合わせ処理を一度の検査で行うことが可能になるため、病変部のより正確な診断と位置特定が可能となっています。臨床的にはこれまで確定診断の困難であったがんや転移・再発がんの発見に威力を発揮しています。
GE横河メディカルシステム株式会社
GE横河メディカルシステム株式会社は、CT(全身用コンピュータ断層撮影装置)、MR(磁気共鳴断層撮影装置)、超音波診断装置(US)、骨密度測定装置、X線撮影装置、核医学診断装置、PET(Positron Emission Tomography)とCTを組み合わせたPET-CT、患者モニタ、画像ネットワークシステムおよび麻酔器等の販売・サービスを提供する医療用画像診断装置の主力メーカー。米ゼネラル・エレクトリック(GE)のヘルスケア事業部門であるGEヘルスケア(売上高:170億ドル)の世界三極体制(北米・日本・インターナショナル)の一極を担う。外資系画像診断装置メーカーとして唯一、国内にCT、MR、USおよびプローブの開発・製造拠点を持ち、最先端の技術や製品を日本から全世界に発信している。現在、"Early Health"のビジョンを掲げ、発病前の兆候発見や個々人の遺伝性素因に合わせた予防医療のデザインなど、画像診断技術とバイオ科学の進化と融合を進めている。特に「悪性腫瘍」、「循環器系疾患」、「ウィメンズヘルスケア」の3分野を重点ケアエリアと位置づけ、複数の製品・技術の多面的なアプローチにより病気の早期発見・早期診断をサポートしている。設立は1982年、日本国内に事業所を53カ所展開。2007年4月1日現在の社員数は1,702名、2006会計年度(2006年1月~12月)の総売上は約1,530億円。
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日本GE コーポレート・コミュニケーション本部