GEヘルスケアグループ(以下「GEヘルスケア」)の世界中核拠点の1つであるGEヘルスケア・ジャパン株式会社(本社:東京都日野市、代表取締役社長:川上潤)が販売するポケットサイズの超音波診断装置「Vscan(ヴィースキャン)」と、本年8月に発売した汎用超音波診断装置「LOGIQ S8(ロジック・エスエイト)」がこのほど、本年度のグッドデザイン賞をダブル受賞しました。
Vscanは、米ゼネラル・エレクトリック(GE)が2009年5月に立ち上げた医療に関するビジネス戦略「ヘルシーマジネーション(healthymagination)*1」の厳しい認証審査をクリアし、2010年10月1日に国内販売を開始した当社最小・最軽量(本日現在)*2の超音波診断装置。どこへでも持ち運べる手軽さと片手で扱える操作性に加え、在宅や僻地など多彩な医療ニーズに応える高い臨床性能を兼ね揃えた装置です。
デザイン面では、重さ約390gと小型で軽量、プローブ(探触子)にも軽量化を施したほか、本体に接続するケーブルも薄型で柔軟性の高いものを採用しました。バッテリー駆動による可搬性に加えて、ディスプレイの開閉による素早いオン・オフやダイヤルキーの採用など片手で扱えるシンプルな操作性を実現するなど、使い勝手にもこだわりました。加えて先端的な技術を用いた半導体チップの採用で、高性能ながら低消費電力も実現しています。
審査委員の評価
本超小型の超音波診断機は通常の医療の場面だけでなく、災害時など緊急時の医療現場などで役立つことが大いに期待される。本商品デザインは医療関係者、生活者双方の新たな社会的、人間的価値を創出した点で評価された。さらにその価値を社内外に認知・確立し、開発のための資源・人材を確保することに困難さがあったことは、新たな価値を創出する際の開発プロセスと決断が今日いかに重要かを示唆しており、この点も評価された。
VscanをデザインしたGEヘルスケアEMEAのグローバル・デザイン室のリオネル・ウォデキは、「Vscanでは、超音波診断装置の使用経験の少ない医師のために、『ちょっと使ってみたい』と思える親しみやすさを追求し、MP3プレーヤーや携帯電話といった日用製品のデザインを採用しました。外観も、多くの人が未来からの先進技術の象徴として親しみを持って育ったスタートレックの設備をイメージしました。これまではサイズや重さの制限のために超音波検査を手がけることが難しかったシーンにおいても、医師の診断をサポートし、患者さんにより質の高いケアを提供するツールとして、このVscanを活用していただければと思います」とコメントしています。
ホイール・ダイヤルキーの採用で、片手でプローブ走査、
もう片方の親指で画像操作が可能
LOGIQ S8は、「ヘルシーマジネーション」の重点分野の1つである「地域に適した技術開発」の一環として、国内の医療機関のニーズを吸い上げ、日本人の身体的特徴にあわせて画像の最適化を施した国内開発モデル。幅広い臨床用途に対応する機能性を有しながら、さらなる小型軽量化と優れた経済性を融合した装置です。
デザイン面では、心臓部に当たるメインキャビネットを当社従来機(LOGIQ 7)に比べて約8割小型化*3したほか、重量も85キロとLOGIQ 7に比べて65%の軽量化を図りました。小型・軽量ボディのため患者に与える圧迫感も少なく、かつ院内での移動も容易なため、今まで設置スペースや取り回しの問題で大型装置を導入できなかった医療施設にも設置可能です。また肢から胸腹部までの検査部位に応じて590mm~990mmの範囲でキーボードの高さを変更可能なエルゴノミクスデザインを採用。昨今増加傾向にある深部静脈血栓症(DVT:エコノミークラス症候群)などの有無を調べる下肢血管の検査時にも中腰での操作を可能にし、検査時に感じる身体的負担の7割近くに上る(当社調査*4)腰痛軽減に貢献します。
審査委員の評価
中腰姿勢で行う下肢検査の姿勢改善、患者を抱えて行う心臓検査の姿勢改善、極小検査室での脚スペース確保のためのスリム化、機器の軽量化、病棟間移動のエレベーター乗降段差に耐える高剛性の実現など諸問題に対する明確な課題解決型デザインを実現した点が評価された。具体的には機動性能改善と剛性を保持するためのデザインソルーションとして、アルミダイキャストの躯体をそのまま外観形態に生かした点、ディスプレイ、操作部の上下機構をシンプルな平衡リンクアームで、スムーズで、素早い上下調整を実現した点などが評価された。
今回の受賞を受けて、当社グローバル・デザイン室長の柳原康司は、「LOGIQ S8では "ベストエルゴノミクス"を開発コンセプトに掲げ、リサイクルしやすいアルミフレームをそのまま外観デザインに生かすなど環境面にもこだわりました。フレームをプラスチックで覆い隠す通常の超音波診断装置と違って外観デザイン上の自由度が制限されるため、難易度の高い設計となりましたが、小型軽量化と高い剛性の実現のみならず、環境にも優しいデザインにはこの手法が最適だと判断しました。近代建築の祖といえるバウハウスが提唱した機能主義とも呼ばれる"Form follows function"というコンセプトを体現したデザインだと自負しております。お客様には"信頼できるプロフェッショナルな道具"として、末永くご愛用いただければ幸いです」とコメントしています。
検査部位に応じてキーボードの高さを
変更可能なエルゴノミクスデザインを採用
外資系画像診断装置メーカーとして唯一、日本に開発・製造拠点を有する当社は近年、今まで以上に高い機能性・操作性と優れたデザインを融合した製品展開に力を入れています。そのおかげで、過去にも、CT(コンピューター断層撮影装置)「Optima CT660 Pro(オプティマ・シーティー660・プロ)」と可搬型解析機能付心電計「MAC800(マック800)」が2010年度、フルデジタル汎用超音波診断装置「LOGIQ E9(ロジック・イーナイン)」が2008年度、MRI(磁気共鳴断層撮影装置)「Signa HDe(シグナ・エイチディーイー)」とCT「BrightSpeed(ブライトスピード)」が2006年度のグッドデザイン賞を受賞するなど、デザイン面でも高い評価を獲得しています。当社では今後、製品の機能面だけでなく、優れたデザイン性や操作性、環境性能を訴求することで、各製品のさらなる拡販を図るとともに、なお一層のブランドイメージの強化を目指します。
*1: ヘルシーマジネーション(healthymagination)は、世界が直面する深刻な医療問題の真の解決を目指して、2009年5月にGEが策定したヘルスケアに関する戦略。イノベーションで環境課題の克服を図る「エコマジネーション」(2005年5月導入)に続く中核戦略で、2015年までに60億ドルを投じて、地域に適した技術開発、ヘルスケアITの加速、格差のない医療の提供、在宅医療の推進の4分野で、100種類のイノベーションを実施し、15%の医療コストの削減、15%の医療アクセスの拡大、ならびに15%の医療の質向上を実現することを目指しています。詳細は www.healthymagination.com をご参照ください。
*2: GEヘルスケア・ジャパンの超音波診断装置の中でこれまでの最小製品はVenue 40で、サイズは282 mm(縦) x 274 mm(横) x 56 mm(奥行き)、重量は3.2kg。
*3: メインキャビネットの容量について当社にて実測した比較値。
*4 2011年4月実施のInternet survey(母数:122)の結果。
製品名 | 薬事認証名称 | 医療機器認証番号 |
Vscan | 汎用超音波画像診断装置Vscan | 221ABBZX00252000 |
LOGIQ S8 | 汎用超音波画像診断装置LOGIQ S8 | 222ABBZX00199000 |
LOGIQ 7 | 汎用超音波画像診断装置LOGIQ 7 | 21300BZZ00082000 |
Optima CT660 Pro | 全身用X線CT診断装置Optima CT660 | 222ACBZX00021000 |
MAC800 | 心電計(解析機能付)MAC800 | 220ACBZX00105000 |
LOGIQ E9 | 汎用超音波画像診断装置LOGIQ E9 | 220ABBZX00177000 |
Signa HDe | 超電導式磁気共鳴画像診断装置Signa HDe | 20900BZY00067000 |
BrightSpeed | 全身用X線CT診断装置BrightSpeed | 217ACBZX00002000 |
GEヘルスケア・ジャパン株式会社は、ゼネラル・エレクトリック(GE)のヘルスケア事業部門であるGEヘルスケアの中核拠点の1つとして、先端的な医療技術ならびに医療・研究機関向けの各種サービスを提供しています。医療用画像診断からライフサイエンス(生命科学)まで幅広い分野にわたる専門性を駆使しながら、GEの世界戦略「ヘルシーマジネーション」で掲げる「医療コストの削減」「医療アクセスの拡大」「医療の質の向上」の実現に向けて、国内外の医療・研究施設を中心に革新的な製品やサービスをお届けしています。主要取扱製品は、CT(コンピューター断層撮影装置)、MRI(磁気共鳴断層撮影装置)、超音波診断装置、医療用画像ネットワーク、メディカル・ダイアグノスティクス(体内診断薬)、生体情報モニタ、液体クロマトグラフィー装置、細胞解析装置。2011年4月1日現在の社員数は2,030名、国内の事業所数は55カ所。
ホームページアドレスは www.gehealthcare.co.jp (ライフサイエンス統括本部: www.gelifesciences.co.jp )。
GEヘルスケア・ジャパン株式会社 広報 松井亜起