アプライド・プレシジョン社製デルタビジョンOMXブレイズ
~生細胞の動画を三次元で超高解像撮影、分子レベルでの疾病メカニズム解明を促進~
*本報道資料は米英で同時発表されたプレスリリースの意訳版です。
GEヘルスケア(本社:英チャルフォント セントジャイルズ、プレジデント兼CEO:ジョン・ディニーン)傘下のアプライド・プレシジョン社(API)は本年11月1日に、研究用顕微鏡システム「デルタビジョンOMXブレイズ(DeltaVision OMX BlazeTM )」を発売すると発表しました。独自の超高速照明モジュールと最新の高性能高速カメラ技術を採用した同システムは、超高解像撮像を新たな水準へ高めると見込まれています。
デルタビジョンOMXブレイズの撮像速度により、研究者は同一の生細胞内の標識タンパク質を分子レベルの三次元解像度で、経時的に追跡できるようになり、細胞内の特定の構造物の挙動、その相互作用機序および継続時間に関する研究上の新たな課題に答えを出すことが可能となります。
API社の先端応用技術担当ディレクターであるポール・グッドウィンは、「かつてない解像度で生細胞の動画を見ることができ、非常に感慨深いものがあります。こうした画像技術の革新は研究者にとって非常にエキサイティングです。OMXブレイズにより、我々はこれまで解明できなかった課題に答えることができます」と述べています。
GEヘルスケアのライフサイエンス統括本部の細胞技術担当ゼネラルマネージャーであるアマー・アビッド博士は、「この技術の可能性はまだ始まったばかりです。細胞の経時的な相互作用を分子レベルで追跡できることにより、ライフサイエンス研究の多くの領域で新しい先端分野が開拓されることでしょう。この技術は細胞撮像におけるきわめて重要な進歩です」と述べています。
この技術では、米カリフォルニア大学デービス校を拠点とするバイオフォトニクス科学技術センター(CBST)の研究者が初期段階からベータ試験に協力しました。またこのシステムは、早期導入を決定した世界中の数多くの現場にすでに設置されており、今後2カ月以内での本格稼働を目指しています。
CBSTのアソシエイト・リサーチ・ディレクターであるフランク・チュアン博士は、「現在我々は、健康と疾病のメカニズムを分子レベルで理解する必要性に迫られています。OMXブレイズは研究ツールとして非常に大きな可能性を秘めています。これを研究モデルに応用して、化学療法に対するがん細胞の反応、HIVをはじめとするウイルスの細胞間感染、工学的な処理を施したナノ粒子の動態を観察できることを非常に楽しみにしています」と語っています。
過去10年間、これまで想定されてきた顕微鏡の光学的限界を克服するためにコンピューターや光学手法を駆使した蛍光顕微鏡検査法が数多く開発されてきました。API社のデルタビジョンOMX超高解像システムでは、3D-SIM(構造化照明顕微鏡)と呼ばれる手法を採用しています。これにより3つのすべての次元で解像度が約2倍となり、従来の顕微鏡と比較し、volume resolutionが8倍向上しました。
DeltaVision OMXに関する詳細情報、ならびに同システムで撮影したサンプル画像(動画・静止画)は、下記からご覧いただけます。
http://newsroom.gehealthcare.com/press-kits/applied-precision-omx-blaze/
微小管の生細胞撮像に関する映像について
上記サイト内の映像では、微小管の端部にあるEB3と呼ばれるタンパク質のダイナミックな動きを見ることができます。微小管は、細胞の構造を維持する骨格状のネットワークの一部であり、細胞周辺の輸送経路となって、細胞分裂中の染色体分裂において重要な役割を果たします。撮像された細胞型はHCT-116です。HCT-116は、元々は結腸直腸腫瘍から抽出されたヒト細胞ですが、現在では正常な細胞機能のモデルとして広く利用されています。これらの細胞を薬剤処理して微小管の挙動を阻害することで、研究者はがん細胞の複製能を阻害する効果的な手法を発見し、新たながん治療構築に役立てる道を開くことができます。映像作成に使用した細胞試料は、ワシントン大学(米シアトル)の生理学および生物物理学教授であるリンダ・ワーデマン教授から提供されました。
デルタビジョンOMXブレイズは研究用機器であり、登録医療機器ではありません。
海馬ニューロン
(提供:米ウィスコンシン大学エリック・デント(Erik Dent)氏)
GEヘルスケアについて
米ゼネラル・エレクトリック(GE)のヘルスケア事業部門であるGEヘルスケアは、次世代の患者ケアをデザインする先端的な医療技術ならびに医療・研究機関向けの各種サービスを提供しています。画像診断やヘルスケアITをはじめ、メディカル・ダイアグノスティクス(体内診断薬)や生体情報モニターから、創薬、バイオ医薬品、ならびに医療機関の経営支援に至るまで、幅広い分野にわたる専門性を生かし、全世界で一人でも多くの人に、より低コストで質の高い医療を提供することを支援しています。また、ヘルスケア分野のリーダーと協力のもと、世界レベルの規制変更を活用し、持続可能なヘルスケアシステムにスムーズに移行することを目指しています。
GEヘルスケアでは現在、「ヘルシーマジネーション(healthymagination)」のビジョンを掲げ、医療コストの削減、医療アクセスの拡大、ならびに医療の質の向上を実現する革新的な製品やサービスの開発を継続しています。英国に本社を置くGEヘルスケアは現在、世界100カ国以上の医療従事者や患者に向けてサービスを提供しています。ホームページアドレスは www.gehealthcare.com 、最新のニュースは http://newsroom.gehealthcare.com をご覧ください(英語版)。
アプライド・プレシジョン社(GEヘルスケア子会社)について
1986年に設立されたアプライド・プレシジョン社は、ライフサイエンス産業とOEM市場での革新的な画像・測定・分析システムの提供において主導的な役割を果たしています。同社は米ワシントン州シアトルの郊外、 イサクアに本社を構え、欧州とアジアに営業およびサービスセンターがあります。同社の最先端の製品には数々の賞が贈られています。従業員数は約130人であり、2010年の収益は概算で約3,700万ドルに上り、20%を超える年間成長率を誇ります。詳細情報については www.appliedprecision.com をご覧ください。 アプライド・プレシジョン社の買収により、GEヘルスケアは製薬およびライフサイエンス研究における製品およびサービスを拡大することができます。両社の戦略的連携と、製品開発およびマーケティングにおける能力拡大により、お客様には長期にわたる大きな価値が提供されます。アプライド・プレシジョン社の独自の技術は、GEヘルスケアのIN Cell Analyzer System(インセルアナライザーシステム)にも導入されており、細胞生物学研究において、高処理能力を備えた細胞機能解析機器として使用されています。現在、細胞の画像技術は、創薬やバイオマーカー研究をはじめとする細胞生物学の多くの分野で中心的な役割を果たしています。
バイオフォトニクス科学技術センター(CBST)
米国国立科学財団の助成金により2002年に設立されたバイオフォトニクス科学技術センター(カリフォルニア大学デービス校)は、人の健康増進を目指したバイオ医薬品およびフォトニクス工学の発展に力を注いでいます。同センターは、その他8つの大学キャンパスおよびローレンス・リバモア国立研究所と提携することで、知識、科学、教育、産業界との連携における取り組みを結集し、医薬分野における重要な疑問に答えるための光の科学を応用した新しいツールや技術を開発しています。
GEヘルスケア・ジャパン株式会社 広報 松井亜起