放射線遮蔽アプリケーション向けに鉛の代替ソリューションとして提案
写真:GEヘルスケアのOEC 9800 X線装置のコリメーターでGEプラスチックスのLNP Thermocomp X線遮断特殊コンパウンドを採用
GEプラスチックスは、放射線遮蔽を目的に鉛を使用している多くの医療機器向けに、鉛に代わる新たな素材として、高い比重(HSG: High Specific Gravity)を持つ熱可塑性プラスチックLNP* Thermocomp* HSG(エルエヌピー・サーモコンプ・エイチエスジー)コンパウンドを開発した。X線およびγ線を発生させる医療設備および装置は、配管漏れや室内放散の懸念から、オペレーター、臨床医、患者、および精密電子部品を保護するために遮蔽する必要がある。GEのLNP Thermocomp HSGは放射線を遮蔽する高密度コンパウンドで、既知の有害物質を使用することなくX線遮蔽を実現する。また、射出成形が可能なため、大きな設計の自由度に加え、大量生産による総部品コストの低減が可能である。
「鉛は、放射線遮蔽製品の製造者に健康と処分に関する難題を課しています。当社は、これらの製造業者が安全な製品を設計できるよう、鉛に代わる新しい材料を提供できることを大変嬉しく思います。当社のLNP Thermocomp HSG X線遮蔽コンパウンドは、幅広い医療機器において、設計面およびコスト面で鉛を超えるメリットを提供できます。」と、GEプラスチックス、ヘルスケア、マーケット・ディレクターであるクレア・フリッソラはコメントする。
毒性と環境リスクに対する鉛使用の規制強化により、製造業者は、新たな代替素材を求めている。例えば、RoHS(有害物質についてのEUの制限)指令は、大部分の電気および電子部品における鉛の使用をほぼ完全に排除することを求めている。また、X線を遮蔽するための鉛ガラス板は、非常に厚くする必要があるため、使用用途やデザインが制限されてしまう。さらに、鉛による遮蔽は、ホットスポット(X線が貫通できる領域)が存在するなど、鉛には設計上の欠点が指摘されている。
GEのLNP Thermocomp X線遮蔽コンパウンドは、漏れやホットスポットを心配することなく、鉛と同等の放射線遮蔽性を発揮することができる。これは、ナイロン6に充填された、無害なHSG素材であるタングステンの性能に因るものである。LNP Thermocomp HSG X線遮蔽コンパウンドは、要求の厳しい射出成形アプリケーションにおいて、高剛性、高強度、および高い耐衝撃性を実現している。
GEヘルスケアは、LNP Thermocomp HSG X線遮蔽コンパウンドを、心臓、血管、整形外科などの手術向けに設計されたOEC 9800 X線マシンに組み込まれるいくつかの部品に採用した。この遮蔽素材は、迷放射線を吸収し、X線照射線量を制限する光学機器であるコリメーターに使用されている。LNP Thermocomp HSGコンパウンドを使用することにより、GEヘルスケアは、環境規制の順守において、鉛を超える多くの利点を獲得した。機械加工や型押しされた鉛から、射出成形されたエンジニアリングプラスチックスへの移行は、より厳しい許容誤差と、部品品質の一貫性の実現に貢献し、X線装置の性能と安全性の向上に寄与している。鉛に必要な二次加工を排除し、加えて複数のコンポーネントを一つの部品に統合することにより、製造工程におけるシステムコスト低減、および工程の簡素化を可能としている。
「X線装置の部品を鉛からLNP Thermocomp HSGコンパウンドに置き換えることにより、患者と介護者にハイレベルな安全性を提供できることになります。射出成形による部品ごとの安定した品質が、遮蔽性の向上を実現すると共に、設計者にとってはデバイスによってフィルターされる放射線量の正確なコントロールが可能になります。このコンパウンドが環境にやさしく、全般的なシステムコストの低減にも貢献するという事実は、歓迎すべき大きなメリットです。」と、GEヘルスケア、エンジニアリング・マネージャーである、デビッド・ベーカーはコメントする。
GEプラスチックスは、カスタム射出成形業者であるThogus Products社と協力して、特定アプリケーション向けに、柔軟性に優れるなどのThermocomp HSGの新グレードを開発している。また両社では、伸長性が高く弾性に優れたグレードを開発しており、これは設計面で高い柔軟性を提供する。
この複合材料は、同等のコストでより優れた性能を発揮することから、他の遮蔽素材と置き換わる可能性がある。X線遮蔽デバイスや容器、ハウジング、X線細管コンポーネント、歯科X線装置、および核医学容器などの用途に最適である。
LNP Thermocomp HSG X線遮蔽コンパウンドの今後の用途開発に関しては、GEのグローバル・アプリケーション・テクノロジー(Global Application Technology:GApT)センターがサポートする。ユーザー中心の設計要素、射出成形アプリケーション特有のテスト、分解解析などがあり、とくに分解解析では、金属(鉛など)などの従来の素材からできた既存のユニットを分解し、射出成形できる熱可塑性樹脂による部品統合のチャンスを特定するために行われる。
GEのLNP Thermocomp HSG X線遮蔽コンパウンドは、米国で製造され、世界中で供給可能である。
GEのLNP Thermocomp HSGコンパウンドの詳細については、 GEプラスチックスのWebサイトをご覧下さい。
GEプラスチックスについて GEプラスチックスは自動車、医療、家電、輸送、高機能包装、建築/建設、通信、光学媒体などの幅広い業界で利用されているプラスチック樹脂を世界中のお客様に提供するサプライヤーです。ポリカーボネート、ABS、SAN、 ASA、PPE、PC/ABS、PBT、PEI樹脂に加え、高機能特殊コンパウンドLNP*製品シリーズを製造しています。GEプラスチックスのスペシャルティーフィルム&シート事業部は、高機能Lexan*シートおよびフィルム製品を製造しており、これらの製品は条件の厳しい用途に世界各地で幅広く利用されています。さらに、GEプラスチックスの自動車部門は、車体パネル/グレージング、ボンネット内、部品、構造/内装、照明という自動車産業の5つの主要分野で、ボディーパネルとグレージング、フード下のアプリケーション、コンポーネント、構造と内装、そして照明です。オリンピック大会の協賛企業として、GEは大会の成功に不可欠な、幅広い分野にわたる革新的な製品とサービスを独占的に提供しています。
* LNP 、ThermocompとLexan は、General Electric Companyの商標です。
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