写真: 1辺が15cmの正方形のフレキシブル有機発光ダイオード。ディスプレイや照明などに応用できる
GE プラスチックスは、フレキシブル有機EL(OLED)用のプラスチック基板システムを開発したことを明らかにした。このシステムの特長は、GEプラスチックスで開発中の高耐熱Lexan*ポリカーボネート(PC)フィルムを透明な超ハイバリアコーティングと組み合わせ、OLEDデバイスを酸素と湿度から保護する点にある。この研究は、米国ディスプレイコンソーシアム(USDC)とGEが共同出資し、軽量で、コスト効率のよいフレキシブル有機ELディスプレイを実現するためのプラスチック基板の開発を目的としている。現在有機ELデバイスは、基板にガラスを用いているためバッチ方式で生産されているが、このプラスチック基板技術の確立により結果的に、より低コスト化が可能となるロールツーロール製法に移行することができる。
「有機ELデバイスで使用されているガラス基板に代わるフレキシブルなプラスチック基板を弊社が開発したことにより、とても面白い新しい用途への道が開けてきました。たとえば、携帯型で丈夫な、将来的にはロールアップのできるディスプレイなどです。GEのグローバルリサーチセンターが、OLEDデバイスおよびディスプレイの分野で果たしている指導的役割に誇りを持っています。これは、弊社の材料およびシステムにおける広く深い技術革新に基づいています。たとえば、弊社の豊富な技術リソースと専門知識、さらには、現行のフィルム技術とコーティング技術のノウハウにより、フレキシブル基板とコーティングシステムの統合を実現できました。」とGEプラスチックスのディスプレイ部門グローバルインダストリーマネージャーの江澤道広氏はコメントする。
ガラス基板ではなく、プラスチック基板の上にOLEDを作り上げると、設計上および使用上のさまざまな利点がもたらされる。プラスチック基板は、割れにくくかつ軽量、また輸送がしやすく、ロールツーロール等の大量製造方法に適しているということから、システムのコストを軽減できる。また、プラスチックス基板のもつフレキシビリティが、既存のディスプレイでは想定されていないような新しいディスプレイの設計と構成を可能とする。
GEのプラスチックス基板では、高温度耐性および高透明度のLexanフィルムを利用している。この特性により、厚さ125ミクロンの基板を作成することができ、OLED製造工程で発生する熱に耐え、かつディスプレイデバイスに適した高い光透過率を保つ。プラズマ化学蒸着法を使用して応用される独自グレードの有機/無機バリアコーティングは、有機ELデバイスに必要とされる厳しい要件を満たすことができる。透明なコーティングにより、光透過率を損なうことなく、有機ELデバイスが酸素、湿度、化学物質、および通電等による劣化を防ぐこともできる。
GEでは、2006年には再びUSDCからの出資を得て、ロールツーロールバリアコーティングプロセスの最適化に注力し、さらに、さまざまな種類のディスプレイへの応用において、コーティングされたプラスチック基板システムの経済的な可能性を評価する予定である。
GEプラスチックスについて
GEプラスチックスは、自動車、医療、家電、輸送、高機能包装、建築/建設、通信、光学媒体などの幅広い業界で利用されているプラスチック樹脂を世界中のお客様に提供するサプライヤです。ポリカーボネート、ABS, SAN, ASA, PPE, PC/ABS, PBT, PEI樹脂に加え、高機能特殊化合物LNP*製品ラインを製造/合成しています。GEプラスチックスのスペシャルティーフィルム&シート事業部は、高機能 Lexan*シートおよびフィルム製品を製造しており、これらの製品は条件の厳しい用途に世界各地で幅広く利用されています。さらに、GEプラスチックスの自動車部門は、車体パネル/グレージング、ボンネット内、部品、構造/内装、照明という自動車産業の5つの主要分野で、世界中のお客様に豊かな経験に裏付けられた優れたプラスチック・ソリューションを提供しています。オリンピック大会の協賛企業として、GEは大会の成功に不可欠な、幅広い分野にわたる革新的な製品とサービスを独占的に提供しています。
*LexanとLNPはGeneral Electric Companyの商標です。
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