本文は、2010年3月5日に米国で発表されたプレスリリースの翻訳です。
【ノースカロライナ州ウィルミントン 2010年3月5日】
GE日立ニュークリア・エナジー（GEH）とポーランド最大の電力会社であるポルスカ・グルパ・エネルゲティチュナ社（PGE：Polska Grupa Energetyczna S.A.）は本日、ポーランドの次世代商用原子力発電所の建設計画に関して協力することで合意しました。
ポーランドは現在、石炭火力発電に大きく依存しており、電源多様化の一環として、原子力発電所を2ヵ所に新設する計画を立てています。また、欧州連合（EU）加盟国は、2020年までにEUの温室効果ガス排出量を1990年のレベルより20%以上削減することで合意しており、発電時において二酸化炭素が発生しない原子力発電は、ポーランドにとって魅力ある電源となっています。
PGEはワルシャワ証券取引所に上場する大手企業であり、原子力発電所を2ヵ所に新設するという同国の原子力計画を推進しています。各発電所には複数の原子炉が設置される予定のほか、原子炉1号基は2020年に完成することが見込まれています。現在、ポーランドにおける電力の約90%が国内の石炭火力発電所で発電されています。
PGEのタマス・ザドロガ会長は次のように述べています。「ポーランド初の原子力発電所建設にあたって、GE日立ニュークリア・エナジーから専門知識の提供が受けられることになり、大変喜ばしく思っています。私どもは、経済性・技術的優先性の観点から原子炉を慎重に選んでいきます。」
今回の合意により、PGEが今後建設を予定している最大4基の原子炉に対して、GEHでは実現可能性の調査を支援することになります。候補となる原子炉は、GEHの1,350MWeの容量をもつ改良型沸騰水型原子炉（ABWR）と世界最先端の1,520MWeの革新型単純化沸騰水型原子炉（ESBWR）です。
原子炉を更に進化させた「第3世代プラス」のESBWRは、世界最先端の受動的安全性と自然循環原子炉設計が特徴であり、従来の原子炉と比べ、安全性が向上し、建設費用と運転費用が低減されています。ESBWRは現在、米原子力規制委員会（NRC）の設計認証取得に向けて審査を受けています。審査は来年完了する見込みで、現在NRCが審査している原子炉設計の中で最初に審査完了になる予定です。
GEHのABWRは商業運転が実際に行われている世界で唯一の第3世代の原子炉設計で、建設・運転で成功を収めてきました。現在、日本で1996年に運転を開始した初号基を含め合計4基のABWRが稼動しているほか、さらに4基の建設が進んでいます。
GEHのダニー・ロデリック上級副社長は次のように述べています。「ポーランドの石炭、ガス、バイオガス、風力の各プロジェクトにGEは積極的に参加しており、この国特有の事情を熟知しています。PGEの原子力発電プロジェクト推進の動きは、エネルギーの安全性を向上し、炭素排出を削減するというポーランドの2つの戦略的優先事項の達成に向けた前向きな一歩となるでしょう。」
GEと日立は、提携によって、実績豊かなグローバル・サプライチェーンを背景に、最新のモジュール建設技術を活用し、世界中に原子力発電所を建設しています。これらの建設ノウハウと最先端の原子炉技術により、両社の提携が、現世代の原子力発電所をより効率的かつスケジュール通りに、しかも予算内で建設することを可能にしています。
GE日立ニュークリア・エナジー(GEH)について
米国ノースカロライナ州ウィルミントンに拠点を置くGE日立ニュークリア・エナジーは、改良型原子炉や原子力燃料、および原子炉関連のサービスを提供する世界有数のプロバイダーです。GEHは、2007年6月に、GEと日立製作所の原子力分野の事業提携により設立されました。原子力分野における新たな提携関係の締結により、GEと日立製作所は統一された戦略的なビジョンを掲げ、より広範なソリューションポートフォリオを提供するとともに、原子炉の新設や原子力関連サービスを提供する機会を拡大します。この提携関係は、世界中のお客さまに原子炉の稼働率、出力、および安全性の向上を実現するために必要な技術的リーダーシップを提供します。
GEエナジー広報部 新村(シンムラ)