GE9Xエンジンを2基搭載したボーイング777 X型機が初のテスト飛行を成功させたことで、今年、アディティブ・マニュファクチャリング(アディティブ製造、以下AM)の歴史が刻まれました。エンジン1基あたりGEアビエーションと関連企業Avio Aeroによって製造された300のAM部品が使用されています。GEアビエーションのAM導入・活用の歴史は、約10年前に始まったCFMによるLEAPエンジンの燃料ノズルの再考プロジェクトにさかのぼります。その後、2015年にFAA(米国連邦航空局)の認証を取得しました。GEアビエーションが学んだように、AMの増産への道は、慎重なプランニング、忍耐強さ、潜在的な問題への正しい認識、細部への注意を必要とします。これらを正しく行うことができれば、生産リードタイムの短縮、コストや部品数、廃棄物の削減、サステイナビリティ(持続可能性)の向上、サプライチェーンの強化など、莫大な利益をもたらす可能性があります。このセッションでは、GEアビエーションが自らの製造過程で得た経験と教訓を共有します。
ウェビナー講師
GEアビエーション アディティブ製造統合プロダクトチーム 主任造形エンジニア スティーブ・ウッズ
GEアディティブ エンジニアリング統括ゼネラル・マネージャー クリス・シュッペ
略歴
スティーブ・ウッズは、オハイオ州シンシナティにあるGEアビエーション アディティブ製造統合プロダクトチーム(アディティブIPT)で主任造形エンジニアを務めています。IPTチームは、付加的なAMサプライ・チェーンの生産オペレーション、フットプリント戦略、新製品導入の量産化を成功を担当する特別機能チームです。チームにおいてスティーブはAMシステムの生産性向上と量産への移行を担当し、競争力のあるコストでのサプライチェーンフルフィルメントを可能にしています。アビエーション以前には、サウスカロライナ州グリーンビルにあるGEパワーの先進製造部門にてAMのリーダーを務めており、AM分野での経験を豊富に有しています。直近6年間は、独自の視点でDMLM OEM案件のAM製造によるガスタービン部品の量産化に注力してきました。
スティーブは溶接と結合分野での経験、豊富な造形経験、創造的な問題解決能力、グローバルなチームリーダーシップの経験を有します。2006年にGE入社、アビエーション、パワーで経験を積んだのち、グローバルサービスセンターをサポートする修理エンジニアリングチームのテクニカルリーダーを務めました。
スティーブはオハイオ州立大学で溶接工学の学士号を、ザビエル大学でMBAを取得しています。
クリス・シュッペは1995年にトヨタに入社し設計および評価部門に所属。その後2000年にGEへ入社し、航空事業部GEアビエーションに所属。エンジニアリング分野にて16年にわたりシステム、先進タービンブレード技術、機械システム、外部統合プロジェクトに携わりました。この間、NPIチームリーダー、ブラックベルト、モジュールマネージャー、サブセクションマネージャーなどの役割を担いました。
2000年代後半から、ポリマーや金属3Dプリンティングのアディティブ技術、より高度な材料など、さまざまな形のアディティブ製造技術の研究を始めました。航空部門のシュッペ率いるチームは、LEAPエンジンの燃料ノズル、初の高圧飛行が可能なアルミニウム製熱交換器を含むGE9Xのアディティブ製造部品、従来の部品855個を12個に集約したGE Catalystエンジン、そしてその他の未公開部品の開発に成功した経験を有します。
2016年10月には、GEアディティブのエンジニアリング統合リーダーとしてアディティブ製造部門を立ち上げ、その後GE アディティブのコンサルティングサービスAddWorksのチームを率いて、業界横断的にアディティブ製造技術の導入を促進しました。AddWorksには、ミュンヘンとピッツバーグのカスタマー・エクスペリエンス・センター(CEC)だけでなく、デザイン、素材、量産化コンサルティング、低価格生産、プロトタイピングなども含まれます。現在はGEアディティブのエンジニアリングチームを統括し、金属3Dプリンター装置や活用法などのさらなる技術促進を研究・支援しています。