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マークⅠ型原子炉格納容器の大きさについて

マークⅠ型原子炉格納容器の物理的な大きさを疑問視する報道もありました。マークⅠ型原子炉格納容器の設計における二つの重要な点について詳しく見てみましょう。そうすれば、タイプの異なる格納容器よりも物理的に小さくても同等の安全性が確保されており、さまざまな事故シナリオの処理能力も犠牲にならない理由がわかるはずです。
最近、福島第一原子力発電所が地震と津波に襲われた際、マークⅠ型原子炉格納容器がどう機能したのかについての報道がありました。マークⅠ型原子炉格納容器についてはGE Reports内で多くの情報を紹介しています。以下にその情報の概要を若干の補足とともにまとめます。

マークⅠ型原子炉格納容器の性能については膨大な記録が残されており、その記録を見れば、規制の厳しい業界で何十年も高い信頼性を実現してきたことがわかります。専門家の分析によれば※1、福島第一原子力発電所の事故はすさまじい津波に襲われた結果、内部電源と外部電源の両方が完全に喪失したことが原因だとされています。原子炉から熱を取りのぞき、いわゆる「冷温停止」を実現するために用意されていたポンプをはじめとする機器が、この全交流電源喪失によって稼働できなくなりました。原子炉もその格納容器も設計要求性能は十分果たしたわけです。福島第一原子力発電所で起きた事故のように、長時間にわたって電源がすべて失われた状態で冷温停止が実現できるように設計された原子力発電所は、世界に1基も存在しません。
※1 2011年7月12日にNRCが発表したRecommendations for Enhancing Reactor Safety in the 21st Centuryのviiページ、(「日本における事故は福島第一原子力発電所の設計基準を超えた自然災害(すなわち津波)によって引きおこされた」)をご参照ください。
原子炉の種類:
格納容器のサイズが異なる理由のひとつは、原子炉のタイプとそれに伴う発電方法の違いです。現在、民間で利用されている原子炉はほとんどが沸騰水型原子炉(BWR)か加圧水型原子炉(PWR)です。BWRもPWRも蒸気を生成し、その蒸気で発電しますが、その仕組みが大きく異なっています。BWRの場合、蒸気は原子炉内部で発生し、そこから、発電機を駆動するタービンに導かれます。これに対してPWRの場合、原子炉の熱を使い、原子炉とは別のもっと大きな蒸気発生器と呼ばれる容器で蒸気を発生させます。この蒸気を発電機を駆動するタービンに導くわけです。BWRとその関連設備(これをまとめて「原子炉蒸気供給設備」と呼びます)は、同等出力のPWRの原子炉とその蒸気発生器、関連設備よりも体積が小さいため、機能的に同等としたときBWRの1次格納容器(原子炉格納容器)は物理的に小さくできるのです。
質量とエネルギーの抑制/軽減:
マークⅠ型原子炉格納容器が小さく出来るもうひとつの理由が、事故時、原子炉蒸気供給設備から放出される可能性のある質量(基本的に蒸気)とエネルギー(熱)を封じ込めるために採用されている技術です。マークⅠ型原子炉格納容器には「ドライ」と「ウェット」という技術要素の両方が使われているのに対し、他のタイプはドライ技術要素のみが使われているのです。マークⅠ型原子炉格納容器のドライ技術要素はドライウェルと呼ばれるもので、原子炉圧力容器と関連機器を囲む鋼鉄製の巨大な格納容器です。ウェット技術要素はドーナツ型をした鋼鉄製の容器でドライウェルに接続されるとともに、内部には大量の水が保管されています。福島第一原子力発電所の場合、約250万リットルの水量です。マークⅠ型原子炉格納容器がこのような設計となっているのは、同じ体積で比較すると空気よりも水のほうがはるかに多くのエネルギーを吸収できるからです。緊急時に原子炉蒸気供給設備から蒸気を放出する場合、水がはいった容器に吹きこめば、冷却されて液体の水に凝縮するわけです。蒸気が凝縮すれば、マークⅠ型原子炉格納容器内の圧力上昇も最小限に抑えることができます。

これはマークⅠ型原子炉格納容器の中核をなす設計上の特徴であり、これが「圧力抑制」型格納容器と呼ばれているゆえんでもあります。圧力抑制技術を採用しているマークⅠ型原子炉格納容器は、はるかに小型で他の格納容器と同等の安全性を全体として得ることができるのです。ドライ技術要素ひとつだけで格納容器を構成する場合、蒸気供給系から蒸気が放出された際、それに伴う圧力上昇に対応するため、内部空間をはるかに大きくする必要があるのです。

マークⅠ型原子炉格納容器は世界で32基が長年にわたって安全かつ高い信頼性で稼働していますが、これらには、原子力発電所に関する最新技術を適用するさまざまな改良が施されていますし、そのような改良はもちろん、適用される規制の要件を満足するものとなっています。具体的には、構造的な補強、格納容器ベント設備の改良、圧力抑制室に蒸気を放出する設備の改良などが行われてきました。福島第一原子力発電所のBWRマークⅠ型原子炉格納容器も日本の規制に合わせてそのような改良がおこなわれてきたと我々は理解しています。改良の詳細については、GE Reportsをご覧ください。

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GEと日立製作所は、両社の合弁会社を通じて原子力事業を行っています。グローバルではGE日立ニュークリア・エナジー(GEH)が、日本国内では日立GEニュークリア・エナジー(HGNE)が事業運営にあたっております。


2011年9月19日
本ページでは、マークⅠ型原子炉格納容器の大きさに関する特長ついて、「原子炉の種類」および「質量とエネルギーの抑制/軽減」という2つの観点からご説明いたします。