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最近、3月に起きた東日本大震災の際に、福島第一原子力発電所原子炉格納容器の緊急ベント設備がどのように機能したかという点に注目した報道がなされています。また、類似のベント設備を持つ米国内の原子力発電所の性能について疑問を呈する報道も見受けられます。これら2点に関してGE日立・ニュークリアエナジー(以下「GEH社」)の見解をご説明いたします。
マークⅠ型格納容器には、1次(原子炉)格納容器内の圧力が高くなった際、それを安全に下げるためにベント(放出)を行う緊急用設備が装備されています。なお、1次格納容器というのは、圧力容器とその関連設備を収納保護する鋼鉄とコンクリートで作られた容器を指します。このマークⅠ型格納容器の緊急ベント設備については、1989年に米国原子力規制委員会(NRC)から改善勧告(Generic Letter 89-16)が出されました。この勧告でNRCが求めたのは、「強化ベント」と呼ばれるベントの追加装備です。強化ベントは、すでに設備されていたベント系とは別のベント配管で、全交流電源喪失(電力がまったく使えなくなった状態)などの事故において高い荷重に耐えられるように設計されており、原子炉建屋外の高い位置へ放出されます。

 

※本レポートは米国本社のウェブサイト、ge.com上に発行したGE Reportsの抄訳です。原文はこちら
2011年5月25日

マークⅠ型原子炉格納容器のベント設備について

東日本大震災により被災された皆さまとご家族の方々に、謹んでお見舞い申し上げます。
皆さまの安全、そして被災地が一日も早く復興することをお祈り申し上げます。弊社といたしましても、今後も引き続き全力で支援活動に取り組んでまいります。


GEと日立製作所は、両社の合弁会社を通じて原子力事業を行っています。グローバルではGE日立ニュークリア・エナジー(GEH)が、日本国内では日立GEニュークリア・エナジー(HGNE)が事業運営にあたっております。


マークⅠ型のベント・設備
NRCは、各原子力発電所の設計がある程度異なることを踏まえ、各原発運営会社が原発ごとの評価を行った上で、それぞれに適切な性能の強化ベント設備を設計・設置することを求めました。米国内でマークⅠ型を使用している原発運営会社は、勧告に従って強化ベント設備を設計・設置しました。東京電力をはじめとする日本の原発運営会社も同様です。ベント設備の基本的な要件は、GEH社が技術的支援を行っている沸騰水型原子炉(BWR)の所有者グループが定めたものですが、強化ベントの設計・設置は、それぞれの設計基準に見合うように、各原発運営会社によってなされました。
マークⅠ型格納容器に緊急ベント設備が装備されている理由は、事故時に発生の可能性がある内部の圧力上昇によって1次格納容器が損傷を受けることを防ぐためです。福島第一原子力発電所の事故については現在も詳細を調査中ですが、これまでのところ、非常用電源喪失により炉心の冷却設備が機能しなくなった際に、1次格納容器の内部で発生した蒸気とガスによって圧力が上昇したとみられます。このような場合、強化ベントは蒸気やガスを直接大気中に放出するための経路を与えるように設計されており、これによって圧力を下げ、蒸気やガスは原子炉建屋外に排出されることになります。1次格納容器の圧力が上昇するような事故の場合、1次格納容器内で発生する蒸気やガスには放射性物質が含まれている可能性があります。この放射性物質を意図せず大気中に放出することがないよう、強化ベント設備には通常、遮断バルブが整備されています。放出による圧力低下を行うためには、この遮断バルブを運転員が手動あるいは遠隔操作で開弁させる必要があります。
GEH社は、地震と津波による被害を受けた後に福島第一原子力発電所のベント設備がどのように機能したのか、東京電力がなぜベント設備の操作上の困難性に直面することになったのかを分析するための充分な情報を、持ち合わせてはおりません。これらの点は、公的および民間の専門家によって現在行われている調査・分析によって今後、明らかにされていくことと思います。GEH社の技術者は、福島第一原子力発電所の運営会社である東京電力と協力して、各原子炉で発生したイベントを明らかにするための調査を進めています。福島第一原子力発電所の原子炉は元々GEH社が設計、又はGEH社の技術供与のもとに建設されたものですが、GEH社は福島第一原子力発電所における強化ベント設備の設計・設置はしておりません。また、日本に限らず米国など世界中のすべての原子力発電所において、当社は強化ベント設備を設計・設置しておりません。
米国の原子力発電所における強化ベント
福島第一原子力発電所の原子炉と類似の格納容器を持つ米国の原子炉には、緊急時に運転員が1次格納容器からガスを放出することができる設備が装備されています。このような沸騰水型原子炉には、ベントを開閉する緊急バルブを装備した特殊設計のベントが装備されており、複数の操作上のバックアップ機能も備えられています。
  • 原子力発電所の中央制御室から電気的に遠隔操作することができる

  • ベントのバルブを制御できるバックアップ手段が用意されている

  • 原子炉建屋外に、ベントを作動させるバルブやその他の設備が整備されていて、必要に応じて運転員がそれらを手動で操作できるようになっているケースもある

米国においてNRCの規制の下では、制御室にいる運転員には、必要と判断した場合に1次格納容器から直ちにガスを放出する権限が与えられています。中央制御室の免許を受けた管理者は、1次格納容器の損傷を防ぐために必要だと判断した場合に、ベントの開放について会社の上層部や規制当局にさらなる承認を求める必要はありません。また、原子炉を運用する企業は相当の時間と資源を費やして、緊急事態を含めたさまざまな事態を想定した運転員の訓練をしています。訓練は、原子力施設ごとに作られた模擬制御室で行われ、格納容器からのベントを想定したシナリオも組み込まれています。原子力発電所の運転員は、ベント作業をはじめとした緊急時の対応手順に関する訓練を、定期的かつ継続的に受けなければなりません。また、すべての緊急時の対応手順は、緊急対応訓練の一部として定期的に見直しが行われます。
東京電力などが、福島第一原子力発電所における事故を今後の教訓とするという趣旨の声明を出しています。GEH社も同様の見解です。同業他社やお客様と同様に、GEH社は、全容解明ためのプロセスや原子力発電所の継続的な安全運用を支援するために、できる限りのことをしていきたいと考えています。
本ページでは、福島第一原子力発電所原子炉格納容器の緊急ベント設備および米国の原子力発電所における強化ベントの機能についてご説明いたします。