また、BWRもPWRも、事故が起きた際に核燃料から放出された放射性物質を閉じこめるため、また、原子炉を外的事象から守るため、格納容器を利用しています。いずれのタイプの原子炉も通常、関連の配管や設備とともに圧力を封じ込めることのできる構造物の中に設置されます。この構造物が「原子炉格納容器」と呼ばれるものです。BWRとPWRで格納容器の設計は異なりますが、その目的は同じです。BWRの格納容器には、大量の水が入っています(福島第一原子力発電所の原子炉の場合、約250万リットル)。事故が起きて原子炉から大量の蒸気が放出された場合、その蒸気はこの大量の水の中へ排出され、そこで凝縮するため、圧力の上昇幅が抑えられます。このため、BWRの格納容器は「圧力抑制型」と呼ばれます。BWRは圧力抑制型であるため、格納容器がPWRよりも小さくてすむのです。一方、PWRの格納容器は、PWRで必要となる上記のさまざまな設備も収納しなければならないため、どうしても大きくなります。このように格納容器が大きくなるため、PWRでは、事故時に原子炉から大量の蒸気が放出された場合、大きな内容積で蒸気放出の影響を吸収するとともに、電動のスプレー設備で圧力の上昇を抑えます。またPWRの格納容器の大半は圧力抑制技術を使用しない「乾式」の格納容器です。水は空気よりもエネルギー吸収量が大きいため、事故発生時に想定される原子炉格納容器の圧力のピーク値が認可された設計圧力を超えないよう、「乾式」の格納容器にはより大きな容積が必要とされます。
いずれのタイプの原子炉も、環境に対する放射性物質の放出を防ぐため、「多重防護」を原則としています。第一の防護策は二酸化ウランの燃料ペレットです。燃料ペレットはセラミック製で、放射性物質の大半を内部に閉じこめることができます。第二の防護策は、この燃料ペレットを入れる金属製の棒で、第三の防護策が原子炉圧力容器と冷却材配管です。第4の防護策が格納容器です。これに加え、原子炉格納容器を囲む構造物が、ほぼすべてのBWRと一部のPWRで使われています。
米国原子力規制委員会(NRC)は、BWRとPWRに関し、シビアアクシデント(過酷事故)の際に付近の住民に対する健康上・安全上のリスク評価を行っています。最新のシビアアクシデントのリスク評価(1990年に完了)でNRCは、評価対象となったBWRは評価対象となったPWRよりも低リスクとの結果となったこと、少なくともBWRの場合は、重大事故の初期に格納容器が影響を緩和する働きをするとの結論を出しています。なお、BWRとPWRで格納容器の設計アプローチは異なりますが、いずれも、設計から建設、検査、試験まで、米国ではNRCが、日本においては経済産業省原子力安全・保安院(NISA)及び独立行政法人原子力安全基盤機構(JNES)が定めた厳しい基準を満たしています。
マークⅠ型格納容器の運用についての詳しい情報は、米原子力エネルギー協会(NEI)が福島第一原子力発電所についてまとめた報告書(2011年3月19日発行)をご参照ください。
マークⅠ型は40年前に実用化されて以降、継続的に進化してきました。この40年間、技術の進歩や米国および日本における規制変更に対応するため、稼働中のマークⅠ型格納容器には運営会社によって改良が施されてきました。このような改良には、圧力抑制プールとその関連設備を含むトーラスの補強、格納容器ベント設備の強化、安全弁より放出された蒸気の水中への放出設備の改良などがあります。
はい。BWRの格納容器は、事故の際にも起こりえないほどの高圧に十分耐久性のある設計となっています。また、稼働期間中において漏れのないよう、設計圧力の上限まで定期的な試験を実施しています。格納容器の設計においては、冷却材喪失事故(LOCA)のほか、地震や台風、津波などの自然現象による影響に起因する内部圧力が条件となっています。この設計基準はアメリカ機械学会(ASME)のボイラ及び圧力容器基準で、大きく安全寄りの仮定を設計時に想定し、なおかつ、2以上の安全係数を取ることが求められます。福島第一原子力発電所について原子力エネルギー協会(NEI)が出した報告書*でも、マークⅠ型格納容器は設計仕様上の圧力を大きく超える圧力に耐えたとされています。
* “Mark I Containment Report”(2011年3月19日発行)
米国では、米国原子力規制委員会が原子力発電所の稼働時に与える運転許可は40年間で、20年間の延長が認められています。原子力発電所は、マークⅠ型格納容器を採用したBWRも含め、長期間、安全に運用できるように設計・建設されています。設計・保守がしっかり行われている産業用設備は40年を大きく超える長期間、運用されるものが珍しくありませんが、原子力発電所も同じなのです。GEのBWRとマークⅠ型格納容器には実績に基づいた信頼性の高い技術が用いられており、いずれも、規制により定められた検査や試験をすべて満足してきています。当初の運転許可の40年間以上、運転され、性能を保っている原子力発電所もあります。あらゆる種類の発電設備がそうであるように、マークⅠ型格納容器を持つGEのBWRの耐久年数は、保守と運用の状況に大きく左右されます。適切な保守管理と運転許可の延長に必要な検査と改良を行えば、当初許可の40年間を越えて、安全で確実に運用することができるのです。
| 発電所名 | 号機 | 運転開始年 | 運営会社 | 所在地 |
|---|---|---|---|---|
| 敦賀原子力発電所 | 1 | 1970年 | 日本原子力発電 |
福井県敦賀市 |
| 東海原子力発電所 | 2 | 1978年 | 日本原子力発電 | 茨城県東海村 |
| 福島第一原子力発電所 | 1 | 1971年 | 東京電力 | 福島県大熊町 |
| 福島第一原子力発電所 | 2 | 1974年 | 東京電力 | 福島県大熊町 |
| 福島第一原子力発電所 | 6 | 1979年 | 東京電力 | 福島県大熊町 |
| 柏崎刈羽原子力発電所 | 6 | 1996年 | 東京電力 | 新潟県 柏崎市・刈羽村 |
| 柏崎刈羽原子力発電所 | 7 | 1997年 | 東京電力 | 新潟県 柏崎市・刈羽村 |
GEのBWRには、外部と内部の交流電源が完全に失われた場合にも機能を維持することのできる緊急冷却装置が組み込まれています。この目的の為に設置された設備は、原子力発電所の運転許可に基づき、定期的に試験が実施されています。
また原子炉を運営する会社は、(内部と外部の両方の交流電源が失われた状態を意味する)発電所内全交流電源喪失が発生した場合、日本と米国の法規に従い、そのような状況にも一定期間耐えうる操作手順と設備改良を導入しています。この(一般に対応可能期間と呼ばれる)期間は、想定事故に対応して、発電所が安全に原子炉停止状態にするために必要な代替電源を確保するのに十分な期間であると見なされています。BWR、PWRいずれの設計もこの機能を実現するように要求しています。今回の日本での事故では、発電所の設計基準と法規による基準のいずれをも大きく超えた状況が発生しました。福島第一原子力発電所での事故に基づき、発電所内全交流電源喪失に対処するために改善が必要か否かを、業界は規制当局と共に改めて検討する予定です。
トピック2:福島第一原子力発電所に対するGEの支援
GEは、津波とそれに伴った電源喪失の結果、福島第一原子力発電所で発生した深刻な事態の解決を支援するため、多くのリソースとノウハウを提供しています。深刻な状況が明らかになった直後、米国に対策本部を設置し、24時間体制で状況の確認と技術的支援の提供を行ってきました。東京電力に対する直接的支援のほかにも、日本政府に支援提供する米国原子力規制委員会(NRC)に対し、技術的支援を提供してきました。今後も必要な支援を提供していきます。
また、日本の合弁パートナーである日立製作所を通じて、技術的支援を提供しています。震災後ただちに、GEと日立との原子力事業アライアンスの1,000人以上のエンジニアがチームとなり、東京電力、米国原子力規制委員会(NRC)、原子力エネルギー協会(NEI)、日本政府に対する技術的支援に携わっています。現在もエンジニアのチームが引き続き東京電力への技術支援を提供しています。
GE社内でも部門横断チームを構成し、エンジニアリング、プロジェクトマネジメント、発電装置の優先的納入など、日本の電力不足解消に向けたあらゆるサポートを行っています。たとえば、既に世界各地向けに手配されていた非常用ガスタービン発電装置「TM2500」20基を、日本に優先的に納入する手配をしています。TM 2500はジェットエンジン型ガスタービンをトレーラーに搭載した移動式の発電装置です。
加えて、GE社員およびGE財団は、現金、機器、サービスの形で1,200万ドルを被災地支援および復興のために提供しています。また日本政府と直接連携し、復興に向けて当社としてさらに何ができるかを特定して参ります。
GEでは、福島第一原子力発電所の状況を注視しています。東京にいるGE日立ニュークリア・エナジーと日立GEニュークリア・エナジーの担当者には毎日、東京電力から原子力発電所の状況と作業予定が通知されています。この情報は、毎日、米国ノースカロライナ州ウィルミントンに置かれたGE日立ニュークリア・エナジーの対策本部に共有されています。また、日本政府と東京電力に対する支援を行うため、米国原子力規制委員会(NRC)などの政府機関、原子力エネルギー協会(NEI)などの業界関係者、日本における合弁相手の日立製作所などと緊密な協力体制を構築しています。
トピック1:沸騰水型原子炉(BWR)とマークⅠ型
沸騰水型原子炉(BWR)も加圧水型原子炉(PWR)も、ジルコニウムのチューブにはいった酸化ウランを燃料として使用します。この燃料棒を束ねたものを鋼鉄製の原子炉圧力容器(RPV)に入れます。この圧力容器内では水が循環しています。核燃料が核分裂を起こすと熱が発生し、その熱が循環している水に伝わります。
BWRの場合、圧力容器内で水が沸騰し蒸気が発生するので、この蒸気を配管で蒸気タービンに導き、発電します。このあと蒸気は凝縮して水に戻し、ポンプで炉心に戻します。このような形の循環が繰り返されることになります。
PWRの場合、炉心における核分裂によって圧力容器内の水の温度が上がりますが、圧力が高いため(約14,000kPa。BWRは約7,000kPa)、水は沸騰しません。高温になった水を蒸気発生器に通し、2次循環系と呼ばれる別の回路の水に熱を移して蒸気を発生させ、蒸気タービンを動かします。
このようにPWRよりBWRのほうがシンプルなため、少ない部品で構成され(例:加圧器や蒸気発生器が不要)、小型でコンパクトな格納容器に出来ます。
東日本大震災により被災された皆さまとご家族の方々に、謹んでお見舞い申し上げます。
皆さまの安全、そして被災地が一日も早く復興することをお祈り申し上げます。弊社といたしましても、今後も引き続き全力で支援活動に取り組んでまいります。
GEと日立製作所は、両社の合弁会社を通じて原子力事業を行っています。グローバルではGE日立ニュークリア・エナジー(GEH)が、日本国内では日立GEニュークリア・エナジー(HGNE)が事業運営にあたっております。
関連情報
