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ボディ・チェック:GEの科学者が医療用画像に変革をもたらすまで

この記事は、GEの米国本社(ゼネラル・エレクトリック・カンパニー)が2012年12月5日に公開したGE Reportsの全訳です。
※原文はこちら: "Body Check: How a Brainy GE Scientist Helped Revolutionize Medical Imaging"

 

エキサイティングな時代:全身用スキャナー(1.5テスラ)1号機の脇に立つジョン・シュネック(1983年)
エキサイティングな時代:全身用スキャナー(1.5テスラ)1号機の脇に立つジョン・シュネック(1983年)
30年前のある日の夜遅く、GEの科学者ジョン・シュネックは、ニューヨーク州北部にある研究所内に急ごしらえで作った木製の台の上に横たわっていました。シュネックの周囲を取り囲んでいたのは、地球の磁場強度の3万倍も強力な大型磁石。数人の同僚がシュネックを見下ろすように立っていました。彼らはシュネックの脳内部を調査し、磁気共鳴画像(MRI)で初めて脳内部を撮影しようとしていたのです。

1970年代は、医療用画像に革新がもたらされた時代です。GEなどで研究者達がレントゲン機器に改良を施し、コンピュータ断層撮影(CT)スキャナーを開発して人体内部の画像を撮影するようになりました。他方では、当時すでに原子や分子の物理的、化学的特性を調査するのに使われていた、強力な磁石を用いた核磁気共鳴(NMR)技術を医療画像診断に転用しようとする研究者もいました。しかしそれは人体画像を撮影できるほど強力な磁力ではありませんでした。

当時、GEの医用画像診断技術のパイオニアであり、GEで初めてCTスキャナーを開発したローランド・レディントン(通称「レッド」)は、MRIの開発を目指すべく、物理学で博士号を取得した若くて聡明な医師シュネックを採用しました。シュネックは、日中はレディントンの研究室で巨大な磁石を研究し、夜間と週末は救急患者の診療にあたりました。シュネックは当時のことを「胸躍る時代だった」と振り返ります。
物理学と医学の両方を学んだユニークな経歴を持つシュネックは、MRIで何が可能かをすぐに把握することができました。放射線を人体に照射するCTやレントゲン機器とは異なり、MRIは装置が作り出す強力な磁場で人体内部の水分子に刺激を与えることで電波を発生させ、その電波を人体から受信するという技術です。人体はあらゆる部分に水が存在しているため、MRIは電波の発生源を認識、デジタル化した上でアルゴリズムを適用し、内部器官の画像を構築することができます。

シュネックらが人体の隅々まで行き渡る強力な磁石と、実用に耐える高解像度画像化を実現するまでには2年を要しました。1.5テスラのその磁石がシュネックの研究室に届けられたのは、1982年の春でした。これほど高い磁場強度が人体に与える影響について当時はわずかしか研究データがなかったため、シュネックはスイッチを入れると看護師に脈拍や血圧などのバイタルをモニターするように言って、自ら10分間内部に入りました。

シュネックに支障が出なかったため、チームはその年の夏、強力な磁場を使ったMRIのプロトタイプ1号を構築しました。その年の10月には、シュネックの脳内部の画像を撮影できる体制が整っていました。

当時の科学者の間では、1.5テスラの磁場強度では、人体の深奥部から発せられる電波が検出する前に人体に吸収されてしまうとの考え方が一般的でした。シュネックは、画像を撮影しても「中央部に黒い穴がぽっかり大きく空いているだけなんじゃないかと心配だったよ」と語っています。

しかし、初のMRI画像の撮影実験は成功しました。「私の脳内部が丸ごと明らかになったのです。それはもう興奮しましたよ」と、シュネックは振り返っています。

これ以降、1.5テスラがMRIの業界基準となりました。今日、1.5テスラのMRI装置は世界で約2万2,000台が稼働しており、1時間に9,000枚の画像が撮影されています。年間の撮影画像は8,000万枚に上ります。

現在73歳になるシュネックは、今もGEの研究室でMRI装置の改良に取り組んでいます。「開発に着手した当時、将来性があるのか私たちには定かではなかったけれど、それが今では、あらゆる病院にMRIが備え付けられるようになりました」