データ・ストレージ(データ記憶装置)に対する世界の需要は増える一方であり、ストレージ容量のさらなる拡大が求められています。いま、GEの科学者たちは、ストレージ容量の限界を打ち砕いてデータの記録量の大幅増加を実現する、新たな3次元技術の開発に取り組んでいます。
データ保管とその管理は、世界経済のさまざまな側面を活性化します。平均的に、企業はデータ・ストレージの容量を18ヶ月から24ヶ月おきに3倍に増やす必要があります。全世界のストレージ容量を見ると、2000年には28万3,000テラバイトだったものが、2005年には500万テラバイト近くにまで急激に膨らみました。個人の平均的なデータ・ストレージ量が毎年250メガバイト増大していることや、ITに関わる支出全体の75%をデータ・ストレージが占めるという事実も併せて考えると、私たちは重大な課題に直面していることは明らかです。
メカニカルからケミカルへ
今日のデータ・ストレージの仕組みは、GEの創業者であるトーマス・エジソンが1877年に蓄音機を発明したときに採用した方法と基本的には変わっていません。エジソンの蓄音機は、高速に回転する錫箔を張った金属製シリンダーに針が付いた振動板を接触させる、という仕組みでした。現在のCDやDVDもこれとほぼ同じ機械技術を使っています。唯一の違いは、現在はピットと溝がポリカーボネート材に刻み込まれており、それらがレーザーで読み取られる点です。CD、DVD、そして新しい青色レーザー光学フォーマット(ブルーレイ)へと進化する中で、より微小なしるしを読み取ることができる波長の短いレーザーが使われるようになり、保存できるデータ量が拡大されました。しかし、これ以上の劇的な変化はもう望めません。
今後5年から10年の間にも爆発的に増大するであろうデータ・ストレージ需要に応えるため、GEは従来の「ピットと溝」による2次元のメカニカル(機械的)なアプローチに別れを告げ、ケミカル(化学的)なアプローチを用いた3次元のホログラフ記録技術に目を向けました。そして、50年に及ぶポリカーボネートの研究をもとに、GEの科学者は特殊なポリカーボネート材の開発を始めたのです。それは、「ディスク」に素材を「書き込む」特殊なレーザー光を当てると化学変化を起こす素材です。そして、別のレーザー光で素材の化学変化を「読み取る」ことにより、保存されたデータを取り出します。このアプローチの最大の利点は、目に見える表面領域だけでなく、素材のすべてを活用できることです。この新しいテクノロジーをDVDサイズのディスクに応用すると、DVDの200倍ものデータを保管できます。さらに、読み取りがパラレルで行われるため、データの検索速度が圧倒的に速いというメリットもあります。
「スターウォーズ」の全エピソードが1枚のDVDに収められるというだけで喜ぶ人も多いことでしょう。しかし、この新技術にはさらに素晴らしい可能性があるのです。活用領域が素材の表面に限定されないということは、メディアのサイズや形状をさまざまに変えられ、従来とはまったく異なる方法でデータ保存装置を応用できることを意味します。たとえば、入院患者の手首に巻かれたプラスチックのIDタグに、その患者の全医療データを含むチップが組み込まれている・・・という未来の世界を想像してみてください。その未来はあなたが思っているよりも早く実現するはずです。
ホログラフ技術によるデータ保存装置研究の焦点
この研究は複数の専門分野にまたがって進められています。GEグローバル・リサーチにおいて、ポリマー化学、素材化学、物理学、光学、電気工学などの専門の科学者たちが互いに協力しながら次のような主要課題に取り組んでいます。
新しいマテリアル・デザイン
新時代の素材を活用して、3Dストレージを可能にする分子を追加する試み
3Dストレージ・システム
システム内における各素材の相互作用の知識を活かした、光学システム構造の開発
電気光学
光学テクノロジーを将来のGE製品に活かす方法の研究