省スペース、省エネを実現したMRI「Signa HDe 1.5T」。医療の質の向上やコスト削減効果からワールドワイドでも高い評価を得ている。
■GEヘルスケア・ジャパンの誕生
8月1日付でGEヘルスケアグループの日本法人であるGE横河メディカルシステムとGEヘルスケア・バイオサイエンスは事業統合し「GEヘルスケア・ジャパン」が発足しました。GEは04年4月、診断薬やライフサイエンス分野での当時の世界的リーディングカンパニー、英アマシャムを買収しました。従来から手がけていた医療用画像診断装置に、アマシャムの持つ創薬などの分野を加えて、分子レベルの画像解析から患者の個人差に対応したテーラーメード医療までに至る総合ヘルスケア企業となりました。
同業他社との差異化を図るキーワードとして発症する前の「早期診断(Early Health)」を掲げ、画像診断ビジネスを担うGE横河メディカルシステムとGEヘルスケアバイオサイエンスの2法人体制を維持しました。
日本経済新聞社が2010年3月まで運営していたウェブサイト「日経エコロミー」に連載したものです。
この記事は2009年9月24日に掲載しました。
新型インフルエンザに代表される新たな感染症への危機感や難病治療への期待など、世界の人々のヘルスケアに対する関心はますます高まっています。同時に日本では少子高齢化が進み、医療保険制度改革や診断装置の高度化、さらにIT利用によるコスト削減などの医療システム改革が求められています。前回のコラムでは日本政府が主体となって発足した産業革新機構(INCJ)に日本GEも国内大手企業と共に参加し、環境技術・ライフサイエンス分野で支援をすることを報告しました。今回は同じINCJを通じたヘルスケア分野への貢献についてまとめてみます。
日本GE、ヘルスケア分野でも日本政府と連携(09/09/24)
■INCJに参加し「環境」と「ヘルスケア」で貢献
INCJは前回も紹介しましたが、「産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法」(産活法)に基づいて発足した15年間の時限組織です。産業や組織の壁を超えて、新たな付加価値を創出する事業に対する支援を目的に設立されました。8000億円の政府保証を中心とした最大約1兆円規模の資金を、投資ファンドを通じて、中小企業を含む企業や公共団体、大学や研究機関などにおける先端技術の開発や事業化、イノベーションの促進などに使われます。INCJでは今後、特に「環境エネルギー」、「ライフサイエンス」、「エレクトロニクス」、「機械・部品」、「高機能素材」といった分野を対象に技術開発の支援を行っていく計画です。
日本GEはこの中でも特に「環境エネルギー」と「ヘルスケア」のイノベーションで大きく貢献できると考えています。GEは環境分野での「エコマジネーション」に加えて、ヘルスケア分野では「ヘルシーマジネーション」という事業戦略を掲げ、経営資源を投入しています。
GEが環境に関する「エコマジネーション」と同時に推進する医療事業分野の新戦略「ヘルシーマジネーション」のホームページ
■「ヘルシーマジネーション」で医療への貢献を加速
この「ヘルシーマジネーション」はGEが09年5月、世界中の人々に身近で質の高い医療を提供することを柱に打ち出した新医療戦略です。15年までの6年間にグループ総額60億ドルの投資をします。中心となる医療関連事業を担当するのが、医用画像診断装置の開発・製造のGEヘルスケアで、それ以外にもGEグループ各社が役割を担います。総額60億ドルのうちGEキャピタルがヘルスケアITの推進に向けて20億ドル、水関連のGEウォーター&プロセステクノロジーやメディア・エンターテイメントのNBCユニバーサル、慈善事業のGEファンデーションといったグループ傘下企業が10億ドルを投資します。
ヘルシーマジネーションで注力する分野は、「ヘルスケアITの加速」「地域に適した技術開発」「格差のない医療の提供」「在宅医療の推進」の4分野です。これらに対して100種類のイノベーションを展開して医療コストを15%減らす一方で、医療アクセスの拡大と医療の質をそれぞれ15%向上を目指します。これらを実現するために、ITの利用による院内ネットワークや地域の医療連携体制の整備、在宅医療の推進を図ります。
日本市場の高いニーズに対応するために日本で開発・製造されたMRI(磁気共鳴画像診断装置)「Signa HDe 1.5T」は、省スペース、省エネルギーを実現し、医療の質の向上やコストの削減に寄与し、その結果海外でも好調に販売を伸ばしています。また、従来に比べ被ばく量を半減しながらも瞬時の4次元画像構築を可能にしたCT「LightSpeed VCT VISION」を5月に投入、7月にはこれまでのコンセプトを逸脱した麻酔科専用の超音波診断装置「Venue 40 Anesthesia」の販売を開始するなど、常に最新の技術を使った医療用画像診断機器を世に送り出しています。
新しいコンセプトで開発し新ブランドで展開する麻酔科専用超音波診断装置「Venue 40 Anesthesia」。超音波の画像を見ながら穿刺することによって、麻酔時に誤って血管を損傷するリスクを軽減する。
■ヘルスケア発展へタンパク質・遺伝子分野で日本企業と提携
イノベーション推進の一環としてGEでは企業との連携による事業推進も積極的です。09年3月にGEヘルスケアはバイオサイエンス研究分野でタンパク質や遺伝子の検出・解析に用いる画像解析システムの開発・製造・販売について富士フイルムと提携し、グローバルでの協力を合意しました。
両社の提携では、富士フイルムが機器の開発・製造を担当し、GEヘルスケアがグローバルでのマーケティングと販売を担うことになっており、近く高品質の画像解析装置や試薬、消耗品、保守サービスなどトータルソリューションとして提供するとともに、新たな画像解析システムについても両社で研究・開発していきます。この提携によりGEヘルスケアと富士フイルムは、両社の強みを生かした装置開発やソリューションで優位性を確立し、新たなニーズの掘り起こしによる事業拡大とともにタンパク質および遺伝子研究を通じて人々のヘルスケアの発展に貢献していきます。
このほど両ビジネスを統合して社名をGEヘルスケア・ジャパンに変更。これを機に、日本市場でのヘルシーマジネーション戦略を効率的かつ強力に推進できる体制が整いました。
GE横河メディカルシステムが保有している画像診断分野での世界最先端の技術力と製品と、GEヘルスケアバイオサイエンスが強みとしていたバイオテクノロジーや創薬分野での革新的なノウハウを統合します。これにより、医療機関や創薬研究機関、製薬企業などとともに再生医療や予防医療、さらに将来のテーラーメード医療の普及促進につながる事業活動を展開。これによりヘルシーマジネーションが目的とする医療コストの削減、医療へのアクセス拡大、医療の質の向上を実現していく考えです。