日本経済新聞社が2010年3月まで運営していたウェブサイト「日経エコロミー」に連載したものです。
この記事は2009年1月19日に掲載しました。
GEは昨年秋、エネルギー・地球温暖化問題解決のカギとなる「スマートグリッド」や、再生可能エネルギーの中核と期待される「地熱発電」、家庭のコンセントで充電可能なプラグイン自動車を既存電力網に統合する「プラグイン自動車インターフェイス」の3点において、検索エンジン大手Googleと協力していくことを発表しました。
GEとGoogleが連携し次世代電力技術――エネルギー・ITを融合(09/01/19)
■GEとGoogleのパートナーシップ
IT技術によって電力網をより効率的な分散型に変革するスマートグリッドは、エネルギー技術とコンピューティングの融合によって可能となるもので、それぞれの領域で多くの実績を持つ両社が手を結ぶことで、その実現に実質的な貢献ができると考えます。
またこの提携は、次世代技術の開発だけでなく、両社が今後、政府機関に対し積極的に働きかける点が大きな特徴となっています。GEがエコマジネーション開始時に掲げたコミットメントのひとつに、環境市場や関連技術の情報を公開し、社会や消費者などとの建設的な対話を通じて課題解決を推進するというものがあります。今回の提携では、Google社とともに米ワシントンDCでの政策提案を進めることを宣言しました。
■政府の積極的な対応を引き出す
エネルギー問題や地球温暖化対策の観点から、再生可能エネルギーの利用促進が喫緊の課題であることは論を待ちません。しかし、太陽光発電や風力発電などは自然環境の影響を強く受けるため、それだけでは電力の安定供給を実現することは出来ません。また、こうした不安定性は電力網の運用にも影響を与える可能性があり、これらを解決するには、電力の利用状況を利用者ごとに把握し、より緻密な管理が可能なもの=スマートグリッドへと既存の電力網を置き換える必要があります。
米国は電力会社の数が多く、州ごとに規制機関があるという背景から、国全体で取り組む必要のあるスマートグリッド推進には連邦政府の強力なイニシアチブが不可欠です。経営環境や電力事情の異なる電力会社や州当局を動機付けするなど、技術的課題よりも制度面の課題が大きいことが、政策提言が必須という点で両社の意見が一致した最大の理由です。
今回の政策連携では、電力消費地域から離れた場所に設置されることが多い風力発電などの利用効率を高めるため、大規模な送電能力を持った送電線の敷設に向けた計画立案と予算措置を政府に求めていきます。また、大型発電所から一方向に送電するだけの電力網を、いつ、どれぐらい、どのように電力を使ったかを双方向で管理可能な電力網に置き換えることで、電力会社と消費者の双方が、より効率的に電力を管理できる「スマートな」電力システムの開発や展開を押し進める政策の提唱も行います。
GEはこれまでにも、家庭の電力や水の消費量などをパネルに表示するモニタリング・ダッシュボードを開発しました。消費者が電力消費を主体的に捉えることができるなど、スマートグリッドの概念をいち早く製品化しています。
■地熱発電への取り組み
太陽光発電や風力発電が不安定性という課題を持つことに対して、地下の熱源を利用する地熱発電は需要に応じた安定供給が可能で、いわゆるベースロード電源として活用できるという点が優れています。発電量の変動が大きいことが電力網の運用に影響を及ぼすという、再生可能エネルギーの課題解決が、地熱発電によって期待できるのです。
今回の提携における技術面のテーマのひとつは、地熱発電の中でも先端技術として注目されるEGS(Enhanced Geothermal Systems)関連技術の開発にあります。EGSは、地下にある高温の岩体を水圧で粉砕し、そこに水を送り込んで蒸気を得るというもので、熱水が乏しい場所でも発電が可能となるため、地熱発電の場所的制約を取り除く技術として期待されています。
Googleの社会貢献プログラムGoogle.orgでは、石炭よりも安価なエネルギーを開発するプロジェクト「RE<C」の一環として、EGS技術の開発に取り組む研究機関や企業に対し約1,000万ドルの投資を決定しました。
一方GEにおいては、「環境技術開発への投資を拡大する」とのコミットメントの通り、風力、蓄電・ハイブリッドシステム、太陽光発電、バイオマス燃料などとともに地熱・廃熱利用発電への研究開発投資を年々拡大。CO2対策や水利用/浄化などを含むエコマジネーション関連製品に対し、2008年単年で14億ドルを投資することを発表しています。
■プラグイン自動車を電力網に統合
技術面におけるテーマの2つ目は、自動車の動力を“クリーン・エネルギー”を資源とするものに転換すること、すなわち家庭のコンセントで充電可能なプラグイン電気自動車の実用化を促進することです。
現時点においては、プラグイン自動車の普及は電力需要を急増させる脅威であると捉えられる場合もあるかもしれません。しかし、プラグイン自動車をソフトウェアによって管理し、オフピーク時を選んで充電するような賢い仕組みを作れば、電力供給の安定を保ったまま利用を拡大することができます。電力会社にとっては、新たな利益の源泉となるでしょう。今回の提携では、プラグイン自動車を電力網に統合する制御機器やソフトウェア、サービスの開発を目指します。
Googleでは、Google.orgを通じて、プラグイン自動車の普及を目的とした提案を募り、1,000万ドル以上の助成金を拠出したほか、プラグイン自動車の利用拡大により温室効果ガスと石油依存の削減を目指す「リチャージITイニシアチブ」を展開しています。
GEは、リチウムイオン電池メーカーに合計5,500万ドルを投資したことをはじめ、電気自動車の実用化に向け、電子システムの開発に取り組んでいます。
■加速するエコマジネーション
GEは当初、エコマジネーション関連の売上高を2010年までに200億ドルとする目標を立てていましたが、2007年にこれを250億ドルに上方修正しました。エコマジネーションに対する関心が加速度的に高まっていることは、わたしたちの顧客とそのビジネスにとって、環境問題に対する革新的なソリューションが、成長を実現する重要なファクターとなりつつあることを示しています。GEはこれからも、製品やサービスを通じて、この世界で最も重要な課題に取り組んでいきます。