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地球の水質の割合
2025年に水不足となると予測される地域
地球の水質の割合
2025年に水不足となると予測される地域

 

日本経済新聞社が2010年3月まで運営していたウェブサイト「日経エコロミー」に連載したものです。
この記事は2008年4月21日に掲載しました。
“Water, water everywhere nor any drop to drink."
「どこもかしこも回りは水だらけ、なのに飲める水は一滴もない」

サミュエル・テイラー・コールリッジ(老夫水行)


豊かな水に覆われた美しく青い星……。それが私たちが思い描く地球です。確かに地球の表面は水で覆われています。しかしその97.5%が海水で淡水は約2%しかなく、しかも淡水の70%が南極大陸やグリーンランドなどの氷河中にあり、残りのほとんども土壌中の水分や人間が利用できない地下水だといわれています。私たちが利用できる真水は、ほんの1%未満にすぎません。

一方、アジアやアフリカを中心に爆発的な都市人口の増加が起こっており、さらにグローバリゼーション、都市化、工業化や地球温暖化の帰結として、2025年までに人類の3分の2が安全な飲料水の不足に直面すると予測されています。

「水は21世紀の石油」との報告もあり、水不足はいまや地球規模で対処しなければならない緊急の課題。無尽蔵の水資源である海水を淡水化するニーズが、世界各地で高まっています。
海水を真水に変える――「21世紀の石油」水ビジネス(08/04/21)
■アルジェの水不足を解消

アフリカ大陸北端に位置するアルジェリア。

その首都アルジェは地中海の要塞として古くはフェニキア人が商業拠点を置き、ローマ領、ビザンツ帝国を経てオスマン帝国領となってからはその海軍基地として栄え、フランス植民地時代には「北アフリカのパリ」と呼ばれた、多様な文化が混在する港町。過去半世紀に250万人もの人口が流入し、水の供給不足が長年の課題となっていました。

都市部における水需要の増加は農業用の灌漑(かんがい)用水を減らして補うしかありませんが、内陸部に水がほとんどなく、耕作地は全土の3%にすぎないアルジェリアでは、地下水に頼ることもできません。アルジェリア政府は雨水貯蔵力を高めるため多額な資金を投じてダムを建設しましたが旱魃(かんばつ)が続き、給水計画は進みませんでした。

1日の給水時間が2-3時間、もっともひどい時には3日に一度しか水が出ない、という状況下にあるアルジェ市民にとって、真水は「ラグジュアリー(ぜいたく品)ともいえる存在になっていました。「もし、無尽蔵に広がる地中海の海水を、効率よく淡水化できたら、積年の水不足という重要課題を解決できる」。

この願いをかなえたのが、今年の2月、正式に開所したハンマ淡水化プラントです。総工費2億5,000万ドル、工期は24カ月をかけた同プラントは1日あたり20万立方メートルの海水淡水化を可能にし、200万人のアルジェ市民に旱魃であっても水を安定供給する体制が整いました。
■北アフリカ初、官民投資による海水淡水化プロジェクト

ハンマ淡水化プラントはアルジェ港の東に位置する、最先端の逆浸透膜式淡水化プラントです。このプロジェクトのために北アフリカ初の官民投資によるジョイントベンチャーとして設立されたのがHamma Water Desalination Spa社。国営アルジェリア・エネルギーが30%、GEが70%を出資しています。

多額の長期投資が必要な海水淡水化の大型プロジェクトはこれまで政府所有の公営事業として行われてきましたが、2000年代になってから民営化、もしくは官民投資による事例が増えてきました。官民投資は、大型淡水化プラントの建設と保守・運用に新たなアプローチをもたらしています。ハンマ淡水化プラントの場合、新興成長市場における米国企業の投資を支援するOverseas Private Investment社が2億ドルを融資しています。GEは自社の最新技術にファイナンス能力を組み合わせ、さらに今後25年間の保守・運用契約を締結、大型プラントに必要なソリューションをパッケージとして提供しています。
■戦略的成長ビジネスとしての水事業への投資

GEの水ビジネスはケミカルをベースにスタートし、長い歴史を持っていますが、21世紀に入って特に戦略的重点事業として注力してきました。世界のライフラインにとってかけがえのない水を次の世代に引き継がなければと見極めたからです。

水ビジネス業界は国際的にダイナミックな業界再編が展開される成長市場で、GEも積極的な研究開発投資、M&Aを重ね事業を強化。現在では分離機器、膜、ろ過技術、診断機器、特殊化学品、携帯用水処理機器、サービス、ファイナンスまで、「水処理事業の総合デパート」と呼べるほどの幅広いポートフォリオを備え、水の再利用、排水処理、プロセスソリューションまで、水とプロセスに関することであればすべて、トータルに提供できるようになりました。
淡水化され浄化された水を飲むアルジェ市民
淡水化され浄化された水を飲むアルジェ市民
特に最先端膜技術を駆使して海水からクリーンな淡水を製造する大規模淡水化では、現在世界各地1,500箇所のプラントで採用されており、トータルで1日当り約20億ガロン(約76億リットル)の淡水を供給する、世界的リーダーとしての地位を築いてきました。水資源が不足し水の生態系が危機にさらされる今、社会インフラとしての水ビジネスに、これまで以上に総合的なアプローチが求められています。GEがエネルギー事業やトランスポーテーション事業、ファイナンス力で長年にわたって積み重ねてきたノウハウが、水ビジネスにも生かされています。
ハンマ淡水化プラントから臨むアルジェ市内
ハンマ淡水化プラントから臨むアルジェ市内