Tomoko M.
ヘルスケア
ライフサイエンス統括本部
Operational Marketing Product Specialist
バックグラウンドを教えてください。
大学では細胞生物学を勉強していました。その中で出会った幹細胞に興味を持ち、造血幹細胞を研究している研究室に入りました。幹細胞とは、自分と同じ能力をもつ細胞を産み出す自己複製能と、様々な種類の分化した細胞を産み出す多分化能を併せ持つ細胞です。幹細胞を用いた再生医療が注目を集めていますが、すでに臨床応用実績が蓄積されているのが骨髄移植です。健康な人の骨髄の中にいる造血幹細胞を造血疾患の患者さんに移植し、正常な血液細胞を産み出すことと、その能力を持つ続ける幹細胞を生着させることで、治療する方法です。
今の仕事内容を教えてください。
大学院卒業後、GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社(現GEヘルスケア・ジャパン株式会社 ライフサイエンス統括本部)に就職し、細胞生物学の研究をしていた経験から、現在は、マーケティング部で主に細胞解析製品を担当しています。
代表製品は、イメージングサイトメーター「IN Cell Analyzer」です。これは、細胞のさまざまな生命現象を自動で高速かつ多数イメージングし、定量解析できるシステムです。顕微鏡では一日に撮れる画像枚数は限られてしまいます。目が疲れますし、集中力に限界があります。それに、撮影領域の選択に実験者の主観が入ってしまう危険性があり、定量性を求める実験には不向きです。
使用例として、新薬候補化合物のスクリーニング(ふるい分け)があります。何百、ときには数千種類の化合物を細胞に与え、各々がどのような影響をもたらすかを解析します。例えば制癌剤の開発では、がん細胞の生存率は低く、正常細胞の生存率は高い、という化合物を探し出したりします。評価指標は生存率だけでなく、細胞によっては形態の変化であったり、特定タンパク分子の細胞内発現(生産)や局在の変化であったり、細胞周期の変化であったりします。IN Cell Analyzerの詳細については、こちらでご覧いただけます。
最近取り組んだ仕事を具体的に教えてください。
ES(Embryonic Stem)細胞(胚性幹細胞)から分化させた心筋細胞(研究用途に限った細胞製品)の販売を始めました。私の役割はこの製品を日本で販売する準備や、認知度をあげるための企画でした。たとえば本社のスペシャリストをよび、セミナーで講演してもらったりしました。
ちなみに、ES細胞由来心筋細胞というのは創薬研究の初期毒性評価に有用と期待されている細胞です。これまでの毒性評価には主に、ヒト由来の細胞株やマウス、ラットなどの初代培養細胞が用いられてきました。しかし、細胞株と生体内正常細胞との性質の違いや、種差などにより毒性が検出できず、臨床試験あるいは市販後に人体に対する毒性が発見され、新薬(候補品)の回収に追い込まれるケースが後を絶ちません。これでは患者さんの期待を裏切ることになります。アメリカでの試算ですが、1新薬を生み出すのに、時間や労力を含めて換算すると10億ドルかかり、この大半が開発途中で脱落する不適合化合物の評価に使われているといいます。
ES細胞由来の分化細胞は、より生体内正常細胞に近い性質を持っているため、早い段階で毒性をもつ候補化合物をふるい分けることができると期待できます。また、この分化細胞は自己複製能をもつES細胞由来であるため、初代培養細胞製品よりもロット間差が小さく、データの一貫性も期待できます。
GEへ入社を考えている皆さんへメッセージをお願いします。
ライフサイエンスについては、いろいろな情報がLife Sciences Academyというサイトに載っています。これは、ライフサイエンス研究者とともにGEが100年間の歴史のなかで培ってきた知識をオンラインセミナーで学んでいただける場を提供するために、今年4月にプレ開講したものです。現在は、9月の本格開講にむけてコンテンツの拡充を進めているところです。是非覗いてみてください。